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頚椎椎間板ヘルニアの治療法の考え方について私見を紹介します。

.26 2019 頚椎椎間板ヘルニア comment(1) trackback(0)
頚椎椎間板ヘルニア(首ヘルニア)の治療法について説明する前に首ヘルニアの症状と進行について簡単に説明します。
1)首ヘルニアの一般的な症状
 首ヘルニアの症状はヘルニアの発生レベル(頚椎の何番目の椎間板か)とヘルニアのタイプ(障害受けた神経が神経根か脊髄か、両方か)によって違いがあります。すべてのレベルとタイプに共通する最初の症状は急に発生する頚部(首)の痛みです。
この痛みはやがて消失する場合(=自然治癒)と持続しながら痛みの範囲が拡大する場合(=慢性化、悪化)する場合とがあります。後者の場合、ヘルニアのレベルによって違いますが、痛みは首から肩甲部や肩、上腕・前腕、手指へと広がります。

2)ヘルニアのレベルとタイプによる症状の違い:
 首ヘルニアが神経根を圧迫した場合、ヘルニアがC5/6よりも下位(胸椎側)では鋭い耐えがたい痛みが首から手・指へと広がります。一方、それより上位(頭側)では痛みは肩から上腕までとなります。神経根障害は片側上肢の痛みになることが普通ですが、例外的に両方に起こることもあります。一方、首ヘルニアが脊髄を障害した場合には、鋭い痛みというよりはびりびりした不快な痛みが両方の腕や手指に出現します。ヘルニアの程度が強いと、ヘルニアのレベルと関係なく、両下肢のしびれや歩行障害、排尿障害などを引き起こすことがあります。

3)神経根や脊髄症状の進み方
 神経根や脊髄がヘルニアによって圧迫されると、始めは痛み・しびれなどの知覚神経症状から始まり、悪化すると肩や腕、手指の筋力が低下する運動神経障害へ、さらに異常感覚(物に触れるだけで痛い、手指の色調が悪い、異常に冷たく感じるなど)をもたらす自律神経障害へと進みます。そして神経障害は一定程度を過ぎると回復不能に陥っていきます。

4)首ヘルニアの治療の考え方
(1) 安静と薬物治療(ブロックを含む)で痛みがコントロールでき、痛みが消失していく場合には、手術は不要です。この場合の目安は痛みが発生してから3ヵ月位までに消失に向かうかです。首の痛みや肩甲部、肩付近の痛みの場合には、自然治癒が期待できます。
(2) 保存治療で改善せず、痛みやしびれが3ヵ月以上持続し、痛みやしびれの範囲が拡大し、筋力低下や異常感覚が発現する場合には手術が必要です。
(3) 保存治療で悪化傾向を取りながら慢性化した場合には神経障害が進行して、その後に手術を行っても痛みやしびれの改善が不良になります(すなわち神経障害性疼痛が残ります)。
(4) 熟練した脊椎外科医による顕微鏡手術なら、極めて安全性の高い手術になっていますので、手術を恐れてむやみに保存治療を続けることで取り返しのつかない脊髄や神経根の障害による後遺症状に悩み、苦しむことのないようにと望みます。
(5) 残念ながら、障害を受けた脊髄や神経根を治す、すなわち神経機能を元に戻す治療法は今のところありません。私ども外科医は神経根や脊髄を圧迫しているヘルニアを摘出して、神経根や脊髄の快復力を引き出すことしかできません。最後は快復力に期待するしかないのです。
6) 特に脊髄障害による後遺症は大きな機能障害となって患者さんの一生涯に渡って深刻な問題になると理解し、適切な時期を判断して手術を受けられることを勧めます。

最後に、外科医は手術によって期待できる効果と手術のリスクの両方を常に念頭に置いて患者さん個々に判断しています。既に手術効果が期待できない程に悪化、進んでしまった患者さんもいるでしょう。また、手術を危険で困難にする他の病気を持つ患者さんもいるでしょう。手術治療のプラスとマイナスの両面から慎重に判断することが必要です。どんな治療法も明確な根拠をもたない過大評価や過小評価は患者さんのためになりません。また、外科医は自らの力量・経験にもとづいた判断もしていますので、同じ患者さんでも医師によって判断が異なります。患者さんにとって、納得いく結論へとたどり着くことを切に望みます。

相談室:椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などで悩んでいる方の相談を引き受けます 5

.17 2018 脊椎疾患 comment(146) trackback(0)
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などの症状や治療などで悩んでいる方が全国に非常に多いことを知るにつれ、私で役立つ事があるのなら相談に乗ってあげたいと思うようになりました。

 情報が氾濫する中で、何を信じれば良いのか解らない方も多いと思います。誤った情報に動かされ、無駄な時間とお金を使わないで済むよう、力になりたいと思います。

 できるだけ、担当医からの説明で理解できない部分の補足説明とか治療方針上の悩みとか治療効果が上がらない不安などへコメントしたいと思います。

訴訟や紛争に関係するような事例への相談やコメントはいたしません。そのような事例に意見を述べるには、私がブログ上で得られる情報は余りに少なく、偏りがあるからです。私の真意を理解していただき、気軽な相談くらいに受けとめてください。

私も常に正しいわけではありませんので、断言することは余程のことでなければ致しません。相談者の判断を助ける役に徹したいと思います。従いまして、私のコメントに対する責任も負えませんのでご了承ください。さらに、専門医や医療機関への紹介や仲介はいたしませんので、これもご了解ください。

勿論、無料ですので気軽にブログ上で質問してください。返事は直ぐに出来ないことが多いと思いますが、夜遅くなっても、できるだけその日のうちに回答したいと思います。まじめな質問には必ず返事します。不適切と判断される内容には応答しませんので悪しからず。
質問には年齢と性は必ず書いて下さい。判断する上で大事になりますので。


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医療相談室にコメントが投稿できなくなっていることに関して。

.17 2018 医療相談室 comment(0) trackback(0)
しばらく前から医療相談室に投稿のできない状態が続いており、ご迷惑をかけました。
5000件を超すコメントのやりとりになったためと思いますが、本日、回復しましたので、
引き続きご利用ください。

診断の困難な腰椎変性疾患とは? 

.24 2018 脊椎疾患 comment(3) trackback(0)
腰椎変性疾患の治療が困難になる最大の理由は、診断の困難さにあります。
どんな腰椎変性疾患の診断が困難であるのか?
 それはMRI画像で異常所見が乏しい場合と異常所見が多すぎる場合です。
前者は比較的若い患者に多く、後者は高齢者に多くなります。
比較的若いとは、30代から50代くらいであり、高齢者とは60代以降です。
これらの患者では、画像所見に依存しすぎると、診断がつかず手術適応なしとされます。
その結果、心因性腰痛や線維筋痛症、歳のせいなどなど、怪しい診断がなされたうえに
終いに患者は難民化してしまうことになります。
このような腰椎難民を出さない方法はただ一つです。患者の症状から、どんな腰椎変性疾患
が腰椎のどこに存在するか、存在しなければならないかを正確に推理する力を養うことです。
私は4000例を越えるピンポイント手術の経験から、手術のターゲットを定める術を得ることが
できました。正確な診断ができれば、後は手術の技術次第なのです。




2017年度 病型別の腰椎変性疾患手術例

.22 2018 脊椎疾患 comment(0) trackback(0)


2017年度に腰椎変性疾患212例の268椎間で手術を行ったが、病型で最も多かったのは、脊柱管狭窄症112例(42%)。次いで腰椎症性椎間孔内・外狭窄症62例(23%)、椎間板ヘルニア45例(17%)、変性すべり症35例(13%)、分離症・分離すべり症14例(5%)の順であった。
病型は、高齢化を反映して脊柱管狭窄症が最も多く、次いで腰椎症による椎間孔内狭窄症や椎間孔外狭窄症が多かったのが当院の大きな特徴です。この傾向はここ数年続いています。これは、前回示した年齢層別で、より高齢に手術年齢がシフトしていることを反映しています。
当院ではすべての病型で手術の最小侵襲化を図っています。
病型別の手術方法、成績などをこれから順に紹介していきます。 
2017年病型別