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腰椎変性疾患による神経障害性疼痛は手術タイミングの遅れが主因である

.05 2017 脊椎疾患 comment(2) trackback(0)

久しぶりにブログ記事を更新します。

新しい年になって、早1ヵ月が過ぎました。

この間、外来、手術と多くの脊椎疾患の患者さんとの出会いがありました。

患者さんの目立った傾向は、後期高齢の患者さんが増えていることです。

さらに、再発手術を求めて受診される患者さんも確実に増えています。

多くの方は、私の拙書「腰椎手術はこわくない」をご覧になっての受診です。

この本を世に出したのは、患者さん自身が腰椎変性疾患に関する正しい知識を

もって適切に判断することを手助けしたいとの思いからです。徐々にその効果が出てきたように感じています。嬉しいことです。

 

さて今回は、私が重要と考える「手術のタイミングの大切さ」について書きました。なぜなら、手術のタイミングは患者さんの予後の重要な決定因子だからです。もちろん、診断と手術が適切であるとの前提での話ですが。「手術のタイミングの大切さ」については、このブログで何度も強調してきましたし、私の本でも詳しく記述しました。

 

手術のタイミングがなぜ遅れるのか。その主因は「医師が手術を勧めない」ことにあります。勧めないどころか「手術は止めた方が良い」と制する医師さえ少なくありません。もちろん、それぞれに理由があってのことですが。しかし、これでは患者さんは効果がないと感じていても、医師が勧めるのだから、そのうちに良くなるのかもと、保存治療から抜け出だせません。これとは逆もあります。医師が手術を勧めても、患者さんが手術に踏み切れない場合です。これは腰椎手術に対する世の中の信用度が低いことに多くは起因します。手術を受けても良くならない、却って悪くなったという患者さんがまだまだ多い状況をみるなら、これも無理のないことかも知れません。

 

こういった状況の中で、手術のタイミングは遅れていきます。その結果起こることは神経障害です。神経障害性疼痛という痛みがあります。これは神経が強く障害されたために起こる激痛であり、患者さんの残る人生は辛いものになります。


これを防ぐ方法はないものか。我々が現在手にする唯一の方法は、神経障害が進む前に、その原因である椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などを手術によって根本的に直すことです。こうすれば神経障害による悲惨な痛みで苦しみ続ける患者さんの発生を防止できるはずです。

 

私が手術してきた患者さんの術後の明暗は、まさにこの神経障害の有無、その程度に関係していました。神経障害が進んでしまってからでは、いくら納得できる手術を行えたとしても、患者さんには神経障害による後遺症が残るのです。この経験から、医師には「手術のタイミングを適切に判断する重要な責任がある」と私は考えるようになりました。

 

治療という名目のもと、長く保存治療を行い、「回復し得ない神経障害」へと進めてしまうことは医師として何としても避けなければなりません。患者さんの良くなる機会を失わせてしまうことになるからです。


いずれそう遠くない時期に、腰椎変性疾患による神経障害性疼痛は医師に回避義務があるとの認識が示されることになろうと私は考えています。医師が適切に手術のタイミングを判断し、医師と患者との間に信頼関係が築かれていくなら、神経障害性疼痛の発生は確実に減っていくでしょう。それを期待します。

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腰椎変性疾患は再発があることを前提に、常に次の一手を打てる背椎外科医が求められている。

.05 2016 脊椎疾患 comment(12) trackback(0)
 腰椎変性疾患は椎間板ヘルニアであれ、脊柱管狭窄症であれ、変形性腰椎症であれ、再発があることを前提にして治療を考える必要があります。これは保存治療でも、手術治療でも同様です。
このことは、腰椎変性疾患は腰椎が加齢変化を進める中で発生する病気であると考えるなら当然でありましょう。

 様々な腰椎変性疾患は一度の手術で生涯に渡って、安泰となることはありません。その理由は上記した通りです。幸いにして再発なく術後の快適な生活を謳歌している方でも、腰椎の変性は進んでいきますので、自分は大丈夫と高を括ることは禁物です。再発を防止するための一定の注意は必要です。しかし、加齢変化が原因といっても、加齢が腰椎に与える影響は個々に異なりますので、なかなか一概には言えず、効果的な予防法が立てられないのが悩みです。

 今まで、腰椎変性疾患の手術は二度目はないというのが常識でした。そのため、再発すると効果のない保存治療をやむなく続けるか、あるいは、このような場合の最後の切り札となってきた腰椎固定術にすがるしかありませんでした。しかし、腰椎固定術はそれ自体が患者にとって辛く耐えがたい腰痛などの問題を残すことが希ではありません。そのため、再発したなら患者にとって希望のもてる治療の選択肢はなかったと言っても過言ではありません。

 このような状況を変えるべく、私は腰椎変性疾患の再発手術に取り組んで来ました。その中で腰椎固定術に頼らない、最小侵襲のMD法(小切開、チュブラーレトレクターと手術顕微鏡を用いた手術)による神経の再除圧術を確立してきました。このような再除圧術は、再発を繰り返す高齢者の腰椎変性疾患で極めて有効です。勿論、若い方でも同様です。

 強調したいのは、腰椎変性疾患は再発があることを前提にして、常に次の一手を打てる背椎外科医が求められており、そのような背椎外科医の育成が喫緊の課題になっていることです。

腰椎椎間板ヘルニア手術の目的は神経根の除圧にある

.29 2016 脊椎疾患 comment(4) trackback(0)
腰椎椎間板ヘルニア手術の目的は、圧迫を受けた神経根の除圧にあります。
ヘルニアの摘出はヘルニアと骨との間で圧迫を受けた神経根を除圧するために行います。つまり、ヘルニアの摘出は神経根除圧のための手段であって、ヘルニア摘出自体が目的ではありません。従って、ヘルニアの摘出によって神経根が適切に除圧されれば、症状は改善されますが、神経根の除圧が不完全に終わると症状の改善は得られません。
術後に執刀医から摘出した椎間板を沢山見せられても,症状の改善が悪ければ、神経根の除圧は不良に終わったと考えるべきです。
ヘルニア手術後に症状が改善しない具体的な場合を次にあげます。(1)ヘルニアの取り残しがあって神経根の除圧が不十分の場合と(2)ヘルニアに狭窄症を伴っていて、ヘルニア摘出のみでは神経根の除圧が不十分な場合です。このような場合には、諦めずに再手術で神経根の適切な除圧を得ることです。

ヘルニア手術では、神経根除圧の適否が結果に対して重要な意味を持つのであって、手術方法が結果を決めるわけではありません。顕微鏡ラブ法でも、内視鏡を用いたMEDやPELDでも、私のMD法でも、重要な点は神経根の除圧が適切に行われたかです。勿論、手術侵襲が少ないことに超したことはありません。しかし低侵襲手術では、より高度の技術と豊富な経験が必要です。技術が未熟で経験の浅い背椎外科医では、患者を満足させる結果をだせないことや、却って症状を悪くすることが起こり得ることを知って外科医選びを慎重に行うことです。

明日から外来診療を開始します。天の計らいに感謝!

.27 2015 脊椎疾患 comment(39) trackback(0)
 昨年11月25日から病気治療に専念しておりましたが、明日4月28日から外来診療を再開いたします。約5ヵ月という長いブランクがありましたが、病気は完治し、気力・体力ともに順調に回復しております。手術は顕微鏡を用いるため、手指の精巧な動きが必要であり、さらに一ヶ月くらいトレーニングを積んで再開いたします。早ければ、5月最後の週から始めることができるのではと考えています。

私の病気治療中、痛みや不自由な生活に耐えながら、私の復帰を待っていただいた多くの方々には、本当に申し訳なかったという気持ちと感謝の気持ちで一杯です。病気治療中、私の早い復帰を望む多くの方々の存在が大変大きな励みになりました。自分を必要としてくれる人々が存在する。これに優る喜びはありません。

病気を克服するためには、多くの人々の協力と病気に打ち勝つ不屈の精神が欠かせないことを身を以て体験しました。今回の病気は、普通の人生では得ることのできない多くの学びと気づきを私に与えてくれました。おこがましいと言われるかも知れませんが、「天の計らい」と受け止めたいと思います。
この体験を生かして、残る人生を医療人として全うする覚悟です。

腰椎変性疾患による下肢(あし)の痛み・しびれが残るのは手術タイミングが悪いため

.21 2015 脊椎疾患 comment(29) trackback(0)
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などで下肢(あし)の痛みやしびれが、手術後も良くならず、残るのは手術が不完全か神経障害が進みすぎて神経機能が回復できない状態まで追い込まれてしまったからです。

ヘルニアや狭窄症は馬尾や神経根を圧迫・絞扼して神経障害を進めます。圧迫・絞扼期間が長引くほど、神経障害が回復困難、回復不能に陥っていきます。その進行速度はいろいろな条件によって患者個々で異なります。

この神経圧迫・絞扼が自然改善しない患者さんでは、手術によって神経の圧迫・絞扼を取り除く、いわゆる神経除圧術が必要になります。すべり症もヘルニアや狭窄症を伴って神経の圧迫・絞扼を起こし、神経障害を進めます。

結局、ヘルニアも狭窄症もすべり症も神経圧迫・絞扼を起こす原因であり、その結果として下肢(あし)の痛みやしびれが発生するのです。

次回は、馬尾と神経根の障害による下肢(あし)の痛みとしびれの特徴について説明します。

腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。1日1クリックずつ応援お願いいたします。

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