診断の困難な腰椎変性疾患とは? 

.24 2018 脊椎疾患 comment(3) trackback(0)
腰椎変性疾患の治療が困難になる最大の理由は、診断の困難さにあります。
どんな腰椎変性疾患の診断が困難であるのか?
 それはMRI画像で異常所見が乏しい場合と異常所見が多すぎる場合です。
前者は比較的若い患者に多く、後者は高齢者に多くなります。
比較的若いとは、30代から50代くらいであり、高齢者とは60代以降です。
これらの患者では、画像所見に依存しすぎると、診断がつかず手術適応なしとされます。
その結果、心因性腰痛や線維筋痛症、歳のせいなどなど、怪しい診断がなされたうえに
終いに患者は難民化してしまうことになります。
このような腰椎難民を出さない方法はただ一つです。患者の症状から、どんな腰椎変性疾患
が腰椎のどこに存在するか、存在しなければならないかを正確に推理する力を養うことです。
私は4000例を越えるピンポイント手術の経験から、手術のターゲットを定める術を得ることが
できました。正確な診断ができれば、後は手術の技術次第なのです。




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2017年度 病型別の腰椎変性疾患手術例

.22 2018 脊椎疾患 comment(0) trackback(0)


2017年度に腰椎変性疾患212例の268椎間で手術を行ったが、病型で最も多かったのは、脊柱管狭窄症112例(42%)。次いで腰椎症性椎間孔内・外狭窄症62例(23%)、椎間板ヘルニア45例(17%)、変性すべり症35例(13%)、分離症・分離すべり症14例(5%)の順であった。
病型は、高齢化を反映して脊柱管狭窄症が最も多く、次いで腰椎症による椎間孔内狭窄症や椎間孔外狭窄症が多かったのが当院の大きな特徴です。この傾向はここ数年続いています。これは、前回示した年齢層別で、より高齢に手術年齢がシフトしていることを反映しています。
当院ではすべての病型で手術の最小侵襲化を図っています。
病型別の手術方法、成績などをこれから順に紹介していきます。 
2017年病型別 

2017年度 腰椎変性疾患の年齢別手術件数

.21 2018 脊椎疾患 comment(0) trackback(0)

2017年度に手術を行った腰椎変性疾患は212例であった。

年齢は15~88歳(平均64歳)

性別は女性102例、男性110例。

年齢層では、60代と70代が各59例、計118例で全体の約56%を占めた。

80代の超高齢者は28例、13%であり、50代の33例16%に次いで第4位であった。

性別では、10~70代までは男性、80代では女性に多い傾向を示した。 


今後、我が国は急速に超高齢化社会へと進んでいくが、これに伴い後期高齢者の腰椎変性疾患の

手術需要は増加の一途になると予想される。

私のデーターは既に腰椎変性疾患の手術はより高齢者にシフトしていることを示している。

2017年 年齢別 

画像では診断できない腰椎変性疾患がある。線維筋痛症と診断された40代女性。

.20 2018 脊椎疾患 comment(1) trackback(0)
長年、腰痛と臀部痛に悩まされてきた40代の女性。
座っていると痛みが増し、座っていることができなくなる。
立位を保ったり、歩行には殆ど支障なし。
下肢には痛みもしびれもなし。
過去に繰り返し画像検査を受けてきたが、原因不明、線維筋痛症、梨状筋症候群等々、
様々な診断を受けてきたが、結局、有効な治療はなく生活に支障をきたしてきだ。
当院でレントゲン撮影、MRI、CTなどを検査したが、確信をもって診断できるような
病変は見られない。しかし、症状からは根性坐骨神経痛が疑われる。
ところが、原因が存在するはずのL4/5やL5/S1の脊柱管内には病的所見は認めない。
そこで、L5神経根をL4/5の脊柱管内からL5/S1の椎間孔内、椎間孔外へと繰り返し詳細に検討すると
丁度、L5神経節が位置する椎間孔外側部に問題らしきものが疑われた。問題といっても
神経根・節の異常走行は見られず、ヘルニアもみられない。通常は、異常なしと診断される程度の所見である。私は、椎間孔内・外狭窄症やヘルニアを400例以上手術してきた経験から、私に見えてくる異常所見があるようだ。
この女性は痛みからの解放を強く希望して、手術を受けられた。私が得意とするMD法により
ピンポイントにL5神経根・節を除圧する手術である。術後、患者さんは長年の痛みから解放され、夢のようと大変喜ばれた。。
この女性のような患者さんの手術が増えている。
そこでアドバイス。「姿勢や動作の影響を受ける腰痛や臀部痛、下肢の痛みは、まず腰椎疾患を疑うべき。」

「腰椎手術は成功、しかし患者は良くならず」の矛盾、あなたは納得できますか?

.06 2018 脊椎疾患 comment(18) trackback(0)
ブログ相談室には、表現に違いはありますが、この種の矛盾を指摘する声が多く寄せられます。そのため、これに関する私の意見を述べたいと思います。そもそも患者の症状の原因として腰椎変性疾患を疑い手術を行う医師は、患者の症状がよくなることを期待して手術を行うはずです。どこを手術すれば患者の症状は良くなるのか、医師は各種の検査で症状の原因を突き止め、そこに手術を行うはずです。従って、原因診断が正しく、手術が適切なら、患者の症状は良くなるはずです。もし良くならなければ、その原因は次の二つのいずれかです。一つは原因の診断ミス、もう一つは不完全手術です。このことから、手術は適切で問題ないと主張するなら、良くならない原因は診断の誤りにあるはずです。ところが、腰椎手術は成功と主張する医師は自身が下した診断が適切であったかどうかには言及しない傾向が見られます。しかし、「診断に誤りはなかった」と自信をもって主張できるほど、腰椎変性疾患の診断はそれほど簡単ではありません。私は、手術に問題はなさそうだが、明らかに診断ミスのため症状の改善に失敗したと判断される患者の再手術を多く手がけてきました。この経験から、「手術は成功、良くならないのは患者に原因がある」の言葉は、余程の根拠・確信が医師にない限り、軽々しく口にすべきでないというのが私の意見です。そのような医師の対応によって、精神を病んでいく患者が少なくありません。
*腰椎変性疾患とは、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変性すべり症、分離すべり症、腰椎症などを指します。