頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症の症状とは (2)

.29 2014 頚椎椎間板ヘルニア comment(4) trackback(0)
 前回は、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症により、頚部神経根が圧迫された時の症状について解説しました。
今回は、頸髄(頚椎の中の脊髄ということで頸髄と呼びます)が圧迫された時の症状の特徴について説明します。

 椎間孔では、神経根が圧迫されて強い痛みの神経根症が発現することは前回説明した通りです。一方、頸髄が圧迫されると頸髄症が発現します。頸髄の圧迫症状は、神経根と異なり、痛みが前面にでることは少なく、指先端のしびれで始まり、次第にしびれが腕の方に上行していきます。かつ、手指の使いがぎこちなくなり、巧緻運動障害が起こります。巧緻運動障害とは、字が書きにくい、箸がうまく使えない、シャツの小さなボタンのつけ外しがしにくくなるなどの手指の運動障害を言います。

 頸髄の圧迫が進むと、症状は足にも出現するようになり、次第に足のしびれととともに歩行がしにくくなります。頸髄症による歩行障害の特徴は不安定な歩行や早足で歩けない、駆け足ができない、階段の昇降に手すりが必要などの段階から、痙性跛行と言って、両下肢の筋肉が強ばり、なめらかな足の運びができなくなり、足をまっすぐ前に出せず、足を外回りにして前に進めるようになります。

 頸髄症が進行すると、胸のあたりや背中・腰にも痛みやしびれが発現することがあります。また、頸髄でも排尿障害が発現します。尿意を感じにくくなり、膀胱に尿が貯まると反射的に排尿反射が起こり、尿を失禁します。

 このように、手指のしびれで始まり、次第にしびれが前腕へと上行し、手指の使いにくさが進行し、そのうち両足のしびれが発現し、歩行障害が進行するというのが典型的な頸髄症の進み方です。

 神経根症と異なり、頸髄症では、先にも述べたように痛みが軽いため、四肢の運動障害や感覚障害がかなり進むまで、なんとか生活できるため、受診時にはかなり頸髄症が進んでいることが多いのが特徴です。頸髄症も進行すると脊髄障害性の不快な痛みを手指に残すことがあり、こうなると回復が悪くなります。

 頚椎椎間板ヘルニアでも頚椎症でも、頸髄症状がある程度に進行してきた時には手術を考えるべき時と受けとめてください。

手術のタイミングは、頚椎の変性疾患でも重要であることを知っておいて頂きたいと思います。

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頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症による症状の特徴は(1)

.27 2014 頚椎椎間板ヘルニア comment(4) trackback(0)
 今週は、毎日の予定脊椎手術の他、脳動脈瘤のクリッピング術が緊急であったりで、ブログを更新できませんでした。
今回は、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症による症状の特徴について解説します。

 初期症状は、後頚部の凝り、張り、痛みです。肩の凝りを強く自覚する方もいます。頚部や肩の他、肩甲部の痛みが強い方も多く見られます。ヘルニアでは、頚椎症よりも急性に、かつ症状がより強い傾向があります。寝違いとか、筋違いと診断されることが少なくありません。

 椎間板ヘルニアや頚椎症による頚部神経根の圧迫・刺激が強くなると、頚部・肩・肩甲部の痛みは、さらに上腕・前腕に広がるようになります。椎間板ヘルニアや頚椎症性椎間孔狭窄の起こり易い部位は、C5/6とC6/7です。

C5/6ではC6神経根が圧迫・刺激されるため、C6神経根領域(前腕外側部と親指・人差し指)にしびれや感覚障害が現れます。C6神経根障害では、二頭筋と呼ばれる肘関節を屈曲する筋肉の力が入りにくくなります。深部腱反射では、二頭筋反射が減弱・消失します。

C6/7では、C7神経根が圧迫・刺激されるため、C7神経根領域(上腕・前腕の伸展側から第2・3・4指にしびれや感覚障害起こります。C7神経根障害では、三頭筋と呼ばれる肘関節を伸展する筋力が低下します。深部腱反射では、三頭筋反射が減弱・消失します。

検査では、頚椎の伸展テストやスパーリングサイン(頚椎を後外方へ伸展すると痛みやしびれが上腕に放散する)などが陽性になります。

これらヘルニアや椎間孔狭窄症による神経根症では、デスクトップのパソコンを見ていると痛みが強くなったり、上を向いた首の姿勢を保つと痛みや痺れが強くなります。寝る時には、枕が低く、首が伸展位になると痛みが強くなり、痛みのある側を下にして寝ると痛みが強くなります。手は下に下げているより頭の上に上げている方が痛みは楽になります。

これらの症状があると、頚椎椎間板ヘルニアや椎間孔狭窄症が疑われますので、MRIやCTによる診断が必要です。ヘルニアはMRI、頚椎症性椎間孔狭窄はCTで診断できます。

次回は、その他の症状について説明します。

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頚椎椎間板ヘルニアの治療について

.04 2013 頚椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
頚椎ヘルニアの治療方針は基本的には腰椎ヘルニアの場合と異なることはありません。神経根性の激痛のある時期には、頸部安静と消炎鎮痛剤、ステロイドなどが用いられます。現在は、神経性疼痛に効果のあるリリカやオピオイド系のトラムセットなど激痛をコントロールするのに有力な薬剤が使えるようになりました。腰の場合と同様に、神経ブロックが有効なこともあります。

 初期治療の目的は、痛みのコントロールにあります。痛みの消退と共にしびれなどの他の症状も消失していくなら、勿論手術は必用ありません。

 しかし、薬物治療によって激痛は軽減したものの、上腕や腕に痛みが続き、さらに手にしびれや冷感、手指の使いにくさなどが発現し、このような状態が3ヵ月以上も持続する場合には手術治療を検討することが必要です。

 頚椎椎間板ヘルニアの手術治療では、通常は前方固定術が行われます。この手術法は、頚椎の前方から椎間板を摘出して、その奥で脊髄や神経根を圧迫するヘルニアを摘出します。椎間板を全て摘出しますので、椎間板のなくなった骨と骨の間(椎体間)に、現在ではチタンケージと呼ばれる金属を挿入し、固定を図ります。かって、骨盤の骨を採取して用いたり、人工骨であるセラミックを用いたりしたこともありますが、現在ではチタンが用いられることが多くなっています。

この頚椎前方固定術は、中心型と外側型、さらに椎間孔型のヘルニアにも用いられるヘルニア万能型の手術法です。欠点としては、骨が固定するのに2,3ヵ月かかることであり、一定の期間(昔は2,3ヵ月、現在は2,3週間)の頸部カラー装着が必用です。ケージの改良が進む中で、カラー装着期間は短縮化の方向にはあります。

 私は、頚椎ヘルニアの手術では、前方固定術とMD法によるヘルニア摘出術を使い分けています。具体的に言うなら、中心型では前方固定術を行い、外側型と椎間孔型では後方からのMD法を行っています。

頚椎椎間板ヘルニアに対するMD法の利点は、腰のヘルニアと同様に頸の後ろに16mm位の切開を加え、直径16mmで長さは通常50mmか60mmのチューブ状の開創器を骨まで挿入して、手術顕微鏡を用いてヘルニアを摘出する最小侵襲の手術ということにあります。術後、頸部カラーは不要で、退院後直ぐに車の運転ができることも利点ですし、さらに、頚椎を固定しないので固定に伴う別の問題が将来発生することを防止できます。
 腰椎ヘルニア同様に頚椎ヘルニアでもヘルニアのタイプに応じた手術法を採用することで、より低侵襲な手術が可能になるのです。

 このようにヘルニアのタイプに応じた手術法の選択が取られるようになり、頚椎手術の低侵襲化が図られています。

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頚椎椎間板ヘルニアを疑う症状とは?

.03 2013 頚椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
頚椎椎間板ヘルには頚椎5番と6番( C5/6)と頚椎6番と7番(C6/7)の椎間板に好発します。軽いヘルニアでは、後頚部や肩甲部の痛みとして自覚されます。比較的急にこれらの部位に痛みが発現し、持続する場合には椎間板ヘルニアが疑われます。特に、首を前に曲げたり、反らしたりで増強する痛みの場合はヘルニアによる痛みの可能性が高くなります。

 頚椎椎間板ヘルニアは大きく三つのタイプに分けられます。一つ目は脊柱管の中心部に起こるタイプ、二つ目は脊柱管の外側部に起こるタイプ、三つ目は椎間孔に起こるタイプです。

 脊柱管中心部のヘルニアは脊髄を圧迫し、脊柱管外側部のヘルニアは脊髄と神経根の両方を圧迫します。ただし、脊柱管外側部のヘルニアは脊髄のみを圧迫する場合と神経根のみを圧迫する場合があります。椎間孔のヘルニアは神経根を圧迫します。

 脊髄のみの圧迫では、両方の手指や前腕(腕)、上腕(二の腕)などにビリビリしたしびれが発現します。手指の使いがうまくいかなくなる場合や両足にもしびれが発現し、歩きにくくなる場合もあります。脊髄のみの圧迫では、いわゆる激痛に泣くような痛みにはなりません。そのため病院への受診が遅れることが少なくありません。

 神経根のみの圧迫では、通常は片方の二の腕や腕に激痛が起こります。肩甲部の痛みも伴うことが多いです。首の動きで痛みが増強し、痛みの強い時期には睡眠を障害され、生活の支障が大きくなります。神経根の障害が進むと、腕や手指にしびれや脱力が起こるようになります。脊髄の場合もそうですが、異常な冷感を伴うこともあります。

 このように脊髄と神経根では起こる症状が異なります。激痛になる神経根の圧迫は、上記したように脊柱管外側部と椎間孔の両方で起こるのです。
 
 頚椎ヘルニアの診断は腰椎ヘルニアと同様にMRIが最も優れています。MRIで三つの部位のヘルニアが正確に診断できますが、椎間孔内のヘルニアは見落とされる場合がありますので注意が必要です。

上記したような特徴を持った激痛が二の腕や腕にあるにも関わらず、MRIでヘルニアはありませんと診断された場合には、ヘルニアの見落としを疑う必要があります。

 昔から頚椎のレントゲン撮影で「ヘルニアが原因でしょう」と診断されてきましたが、レントゲン撮影ではヘルニアの診断はできないことを知っておきましょう。

 ヘルニアの治療については次回説明します。
 
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頚椎椎間番ヘルニアに対するMD法によるヘルニア摘出術

.05 2012 頚椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
頸椎椎間板ヘルニアの手術治療
  
患者:30歳男性。左C5/6の椎間番ヘルニア 
症状経過:2年前から、両手のしびれと右足のしびれあり。近医で頸椎椎間板ヘルニアの診断を受ける。手術を勧められるも、そのまま放置した。次第に、左に強い巧緻運動障害と歩行障害が発現し、階段昇降に手すりが必要となったため私の外来を受診した。

診断は左に強い神経根・頸髄症。
MRI画像所見を下に提示する。

頸椎椎間板ヘルニア C5-6   術前矢状断 
術前MRI矢状断像:C5/6の左側に椎間板ヘルニアを認める。

頸椎椎間板ヘルニア C5-6   術前横断 
 術前MRI横断像:C5/6の左側に椎間板ヘルニアを認める。

頸椎椎間板ヘルニア C5-6   術後矢状断 
 術後MRI矢状断像:ヘルニアが摘出されている

頸椎椎間板ヘルニア C5-6   術後横断 
 術後MRI横断像:ヘルニアが摘出されている。

手術ビデオ
 頚部後部の正中近くに18mmの皮膚切開
 チューブレトレクター 直径16mm、長さ60mmと手術顕微鏡を使用
 手術所要時間:1時間35分
 出血量:55ml


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手術図
渡辺 亮太 30歳 男 頸椎 H21 3 11
術後12日目に退院する。術前の両上肢と手のしびれは軽減し、指先に残る程度であった。手指の巧緻運動障害が歩行障害はほぼ消失していた。
その後は安定した経過で受診はない。

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