年寄り病だからどうにもならないと医師に言われた頚部脊柱管狭窄症の80代女性

.04 2014 頚部脊柱管狭窄症 comment(2) trackback(0)
 長い経過で、両方の上下肢に痛みとしびれが進み、手の使いや歩行が困難になった80代女性が受診されました。
支えで、やっと歩けるという状態でした。先の病院では、年寄り病だからどうにもならない。治療のしようもないから
受診の必要はないといわれたそうです。

 その患者さんのかかりつけ医の紹介で私の外来を受診されました。状態は、四肢麻痺で頚椎MRIではC3からC7に
脊柱管狭窄症を認め、C3/4で脊髄の圧迫が強く、脊髄は通常の太さの1/3くらいまで細くなっていました。
このままでは、歩けなくなるのは時間の問題でした。80代ではありますが、認知症はなく、不快な四肢のしびれと痛み、動きのとれなくなっていく手足に大きな不安を持っておられました。もちろん、家族もです。

 頚部脊柱管狭窄症は、通常、複数の頚椎を侵す疾患であり、広い範囲にわたって脊髄を除圧することが必要です。そのため、通常は狭くなった脊柱管の拡大形成術を行います。先の医師は、患者さんの年齢から、手術は適応でないと判断したのであろうと思われます。確かに、その判断が100%間違いというわけではありません。手術にはリスクが伴うのであり、ましてや80代となるとそのリスクは大きくなり、回復力は若い人と比べて劣るからです。

 しかし、私は手術を引き受けました。引き受けた理由は、残り少ない人生を苦痛と失望の中に終わらせることは、外科医として忍びないという思いになるからです。幸いに、この患者さんでは、脊柱管狭窄症の範囲は広いものの、脊髄を障害しているのはC3/4に限局していました。長い将来を考えるなら、広い範囲の手術が必要ですが、患者さんの年齢を考慮するなら、現在起こっているC3/4の問題を解消してあげることでよいと判断しました。それならば、身体に負担の少ない手術で対応してあげられます。

 この患者さんでは、20mm弱の切開でMD法により、C3/4での脊髄の後方除圧を行いました。具体的には、C3の椎弓切除とC4の部分椎弓切除を行い、黄色靭帯も摘出しました。手術時間は1時間、出血量は5mでした。

 手術翌日から離床を開始しました。MD法では、頚部カラーの装着は不要であり、痛みは少ないので、すぐにリハビリが開始できます。私は、頚椎でも病気によっては、MD法により脊髄や神経根の除圧術を行っています。特に、高齢者に適した手術法です。

 この患者さんでは、脊髄の障害が進んでいたため、元通りの身体には戻らないと思いますが、痛みやしびれの軽減と手を使い、歩くことはできるようになると期待しています。さらに、手術によって、脊髄障害が悪化することが防止でき、改善に期待をつなぐことができたのは外科医としての喜びです。

 「頚部脊柱管狭窄症による脊髄障害に苦しむ患者さんに年寄り病だから諦めろ」という言葉は余りに乱暴で冷たい。同じ外科医として、誠に残念に思います。なぜなら、脊椎外科を専門にする医師であるからこそ、脊椎の病気が患者さんにもたらす問題の大きさを熟知しているはすであり、その病気を持つ患者さんの苦痛や苦悩を誰よりも理解できるはずだからです。どんな理由があれ、医師が患者を見捨て、治療を放棄したような言動をとることは、医師としての人間性の問題であり、そこには古い治療のあり方から抜け出せない、あるいは抜け出そうとしない医師の無為な姿勢が見えてきます。

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