腰ヘルニアや狭窄症、すべり症などの腰椎変性疾患に対する保存治療の弊害とは

.24 2012 腰椎変性疾患の治療 comment(0) trackback(1)
最初に断りますが、私は保存治療自体が無効・不要という立場はとっていません。軽症の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などは薬物治療やブロックなどの保存治療で治ることはないにしても、症状の改善を図れるからです。うまくいくと、症状が一旦消失することも多く見られます。しかし、再発を繰り返し、軽症から更に進んだ腰椎変性疾患になると保存治療が次第に効果を失って行きます。
 たとえば、ぎっくり腰になり、保存治療を受けると痛みは1週間くらいで消失し、一見治ったかの印象を与えます。しかし、二度、三度とぎっくり腰を繰り返すと次第に保存治療の効果が悪くなります。かって、有効であった治療が効果を示さなくなるのです。ぎっくり腰から更に臀部や下肢の痛み・しびれに発展すると、保存治療の効果は更に失われていきます。これが保存治療の限界なのです。腰椎変性疾患は通常は加齢と共に進行性ですので、改善と悪化を繰り返しながら、次第に症状の悪化傾向を示します。繰り返しますが、今まで効果を示した薬物治療やその他の保存治療が病気の進行と共に次第に効果を失うのです。
 重要なことはこの時期、すなわち保存治療が効果を示さず、症状が悪化し、生活の支障が大きくなり始めた時期こそ保存治療に見切りをつける時なのです。
 腰への負担を軽減しながら、保存治療で何とか生活できる状態では治療が有効とは言えません。外科治療が進んでいなかった時代なら仕方ないことですが、今日では外科治療が進み、病気の根本を治しますので、高い治癒率が期待できるからです。
 次に保存治療の弊害を三つあげると、
1) 一つ目は、神経機能障害を進めてしまうことがある。教科書には麻痺が進んだら手術治療を考慮すべきと記載されていますが、通常の外来では知覚障害の分布や程度、筋力低下の有無や程度などは余り検査されていないのが実情です。筋力が半分以下に低下していても、普通は患者自身が気づいていません。普通に歩いているように見えても筋力低下が明らかに存在することがあるのです。従って、神経機能障害の有無や程度をチェックしないで治療のみを行うことは適切な治療のあり方とは言えません。なぜなら、保存治療の末に下垂足と言って、足の先が垂れ下がり、持ち上げられない状態で受診することや、筋萎縮が進んでから受診してくる人が少なくないのです。これでは、治るものも治らなくなるのです。
2) 二つ目は、痛い腰や下肢をかばった生活をしている内に腰椎が次第に変形し、たとえば側彎変形などで腰椎病変が複雑になり、治療困難になっていくことがあります。70代や80代の方の腰椎は見るも無惨なものになっていることがあります。これは長期にわたる効果のない保存治療が生んだ悲劇といえます。
3) 三つ目は、無効な保存治療が長く続くことで、患者の精神的苦痛は次第に増大していきます。腰の病気を理解できない周囲の人たちの視線・言動が患者を苦しめます。次第に家庭においても居場所を失うような深刻な心理状態に陥る患者もいます。
このように無効な保存治療が漫然と長々繰り返されることにも多くの弊害があることを知って腰椎変性疾患の治療と向き合いましょう。


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