腰椎ヘルニアのMD手術後に出血が起こり、両下肢の脱力としびれが発現した患者

.04 2012 腰椎椎間板ヘルニア comment(7) trackback(1)
腰椎MD手術では、全くと言って良いくらい合併症は経験していないが、今回、それが起こってしまった。

 患者は60代男性で、肝機能障害と血小板減少があった。下肢には慢性化した腰椎椎間板ヘルニアによる症状があった。すなわち、坐位では下肢の症状の自覚はないが、立位・歩行で左下肢のしびれと痛みが発現するというものである。椎間板ヘルニアは脊柱管の外側にあり、神経根を圧迫していた。正確に言うなら、ヘルニアと関節との間で神経根は絞扼されていた。そのため、脊柱管狭窄症に類似した症状を呈していた。

 この患者にMD法で神経除圧術を行った。ヘルニアは石灰化といって、固く骨のような組織になっていたため、摘出は不要と考え、神経除圧術のみ行った。手術は問題なく終了した。

 ところが、手術の翌朝、両下肢のしびれと歩くと両下肢の脱力があり、転びそうになるとの訴えがあった。痛みは軽いものであった。

 術後にこのような訴えがあった時には、手術部位に出血が起こり、固まった血液、すなわち凝血塊が神経を圧迫していることを疑わなければならない。即刻、MRIを行うと、やはり予想した通り、血腫が神経を強く圧迫していた。

 その日、予定していた手術が終了しだいに局所麻酔で血腫除去を行った。前回の切開部位を開き、直径16mmのチューブ状の開創器を挿入して、手術顕微鏡下に貯まった血腫を吸引器で吸い取った。神経は血腫により強く圧迫されていた。

 手術が終了して直ぐに、患者の下肢の症状は劇的に改善した。患者は「楽になった、自分の足になった。しびれはない。力もはいるようになった。」と喜んだ。

 私は、椎間板ヘルニアに対する腰椎MD手術を既に1000例を超える数、経験している。しかし、このような術後の合併症は初めての経験である。当然のことながら、ヘルニアの術後にはあり得る合併所として常に注意はしている。この患者は肝機能障害と血小板減少症があったため、術中に一旦は止血されたが、その後、出血が起こったものと推測された。
 
 手術は患者の身体の条件によって、起こりやすい合併症がある。それを未然に防止することが重要であるが、それでも、起こる合併症には速やかな対応が必要である。この患者の例で分かるように、術後出血の場合、早期に血腫除去を行うことで、神経機能障害は速やかに回復するのである。経過をみてから、手術をするか否か判断するという姿勢は後手後手に回る危険性があり、勧められない。


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はじめまして。突然申し訳ありません。
L5/S1ヘルニア術後血腫で困っていて、ここにたどりつき質問させていただきます。
昨年11月27日、ラブ法にて手術し、無事改善されましたが、2週間後痛みが再 発(左下肢)、術前よりも痛みがひどく、仕事を休まざるを得なくなり、現在も自宅療養中です。痛くて動けない状況から、なんとか、動けるようにはなったものの、発作的に痛みがひどくやってくることがしょっちゅうです。痛みの再発から1ヶ月がたとうとしています。吸収されるのを待つか、手術するか、なのですが、もちろん再手術はいやなので、吸収を待っています。しかし一向によくなる兆しがみえず、仕事のこともあるので、手術も考え出しました。通常、どのくらいで血腫は吸収されるものなのでしょうか。また、また、手術をするとしたら、局所麻酔でできるのですか?
ちなみに、27才女性です。つらくてつらくて、困り果てています。よろしくお願いします。
2013.01.03 23:14
drshujisato
昨年の11月末の手術でまだ血腫の影響があるとは思えませんよ。
ヘルニア再発の可能性が最も疑われます。
術後まもなくは血腫と再発ヘルニアの鑑別はMRIでも簡単ではありません。
経過からみて、再発ヘルニアの可能性が高いと思いますよ。
私は血腫によるそのような経過をとった患者は記憶にありませんね。
再度検討してもらうといいですよ。
2013.01.03 23:44
MRIでは、白色で丸く写っていました。執刀医いわく、椎間板自体は、再発予防のため結構手術で取り除いたのことで、再発はほとんど考えにくいと言われました。また、痛みの場所は同じですが、痛みの出現のしかたは、術前より変わっています。
結局これほど続く場合は、再手術をした方がいいということなんでしょうか?
2013.01.04 14:42
drshujisato
再発ヘルニアも白く見えることがあります。手術でいくら頑張っても再発を確実に防止するほどは取れません、。それだけの期間、神経根症状が持続しているのなら、私なら再手術を既に行っていたと思います。
術後、時間が経過するほど、癒着が進み、手術がより困難になるからです。
これはあくまでも、症状の改善が進んでいないという前提での話ですよ。
もし、改善が進んでいるのなら、しばらく経過を見守っても良いと思いますよ。
2013.01.04 16:31
ありがとうございました。参考にさせていただきます。
2013.01.04 17:33
なり
この場合の手術の術式は何になるのですか?
医療事務してますが、解釈には脊椎の血腫除去術が無いです。
2014.05.13 07:46
drshujisato
医事課に確認しましたが、1~2日以内の再手術の場合には
手術料は請求していないとのことでした。
請求は、麻酔や薬剤関係に限っているそうです。
初回手術に関係して短時日内に起こった再手術はそのようなことのようです。
2014.05.17 13:45

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腰椎MD手術では、全くと言って良いくらい合併症は経験していないが、今回、それが起こってしまった。 患者は60代男性で、肝機能障害と血小板減少があった。下肢には慢性化した腰椎
2012.07.05 17:54 まとめwoネタ速neo