腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けたが良くならなかった50代の女性患者の事例

.20 2012 腰椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
この患者は県外の方で、2年前に腰椎固定術を受けている。術後は症状の改善あり、調子良かったが、半年後に再び左臀部から大腿・下腿に痛みが発現し、足先にしびれを認めるようになった。同じ病院で、左L5/S1の椎間板ヘルニアの診断でヘルニア摘出を受けた。しかし、症状の改善はなく、左臀部から大腿・下腿外側の痛み・しびれが続いた。そのうち、立位保持困難、歩行困難となったため、私の外来を受診された。

神経学的検査では、左L5神経根領域に知覚障害を認め、左母趾の背屈力低下を認めた。
腰椎レントゲン撮影では、L4/5の腰椎固定は完成していた。
腰椎MRIでは、L5/S1の左側で部分的椎弓切除が行われていた。その外、左のL5/S1の椎間孔内から外に骨性狭窄を認めた。ボルトの影響で詳細な読みは困難であった。

症状は左L5神経根症であること、L5神経根が最も障害されやすいL4/5は固定が完成していることから、問題があるとしたなら、L5/Sの椎間孔内・外の病変以外には考えられないという結論に至った。

手術は18mm切開で、チューブレトレクターと手術顕微鏡を用いるMD法で、L5/S1の左外側から椎間孔内・外で骨の中に埋まった状態にある、L5神経根を掘りだし除圧した。
手術時間は1時間6分、出血量は10mlであった。

術前は下肢を伸ばした仰向けで寝ていることができなかったが、麻酔から覚めると、その姿勢を保っていることができるようになっていた。翌日からは歩行を開始したが、術前のような歩行障害は解消していた。

この患者が残した教訓:固定手術後に発生した下肢の痛みはL5神経根の障害によるものであるが、ヘルニア摘出術は症状とは無関係のL5/S1の脊柱管内で行われた。手術をおこなっても症状の改善が得られなかった理由は診断ミスにあったのです。真の原因はL5/S1の椎間孔内から外にあったのです。このように診断が誤っていたなら、どんな良い手術が行われようと、患者の症状の改善は得られないのです。私が脊椎外科医の診断力の重要性を強調するのはこのためです。


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