診断の甘さによる不完全腰椎手術の実例を紹介しましょう。

.29 2012 腰椎変性側彎症 comment(2) trackback(0)
患者は70歳女性。3年前から、腰痛と左大腿外側部に痛みがあり、左下腿にしびれもある。2年前に腰部脊柱管狭窄症として手術を受けたが、症状の改善が得られず、2ヵ月後に再手術を受けられた。
下肢の痛みとしびれは再手術後に少し良くなったが、腰痛は徐々に強くなってきたため、私を受診された。

問診では、腰痛と左下肢の痛み・しびれが持続しており、立位保持と歩行が困難である。
神経学的所見では、下肢筋力の低下はないが、左L5神経根領域に知覚障害を認めた。

腰椎XPでは、強い側彎変形を認める。すべり症は認めない。
腰椎MRIでは、L4/5で除圧術が行われており、除圧状態は良好である。さらに、L5/SとL4/5の左側に側彎症による椎間孔狭窄を認め、L5/Sの椎間孔狭窄が症状の原因を判断された。

手術は、最小侵襲法でL5/S1とL4/5の左側で椎間孔解放を行い、L5神経根とL4神経根を除圧した。その除圧部から椎体間固定TLIFをL5/S1とL4/5で行い、さらにL4-S1の両側でペディクルスクリュー固定を行った。
手術時間は3時間50分、出血量は60mlであった。

手術が終わり、リカバリー室に戻った時の患者の声は「傷かな?ちょっと病めるかな?わからんな。」創部の痛みは殆ど感じていない。

翌日から離床開始し、リハビリも開始した。数日後からの痛みには、鎮痛剤の頓服で対応した。
リハビリを行い、術後約1ヵ月で退院の運びとなる。
術前の痛みは軽減し、立位・歩行は安定し、院内連続歩行、屋外歩行にも問題なし。

 この患者は、腰椎症性の側彎変形を伴うL4/5の脊柱管狭窄とL5/SとL4/5の椎間孔狭窄が症状に関係していた。脊柱管狭窄は他院の手術により改善したものの、椎間孔狭窄が残ったため、患者の症状の十分な改善は得られなかった。今回、3度目の手術となったが、側彎が原因の椎間孔狭窄があり、
2椎間で椎間孔拡大術が必要であったため、2椎間でmini-TLIFとペディクルスクリュー固定術を行った。その結果、患者の症状の原因は根本から解消され、痛みの軽減と歩行の正常化が得られた。症状の真の原因を見極め、適切な手術法を選択し、実施することが手術治療成功に欠かせない。


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Easton
日本の医療は国民の福祉を目的に国民皆保険を前提に恩恵を与えて来ました。そね間医療技術も進歩しある分野では先端医療を実施してますが、こと脊椎疾患の医療は決して世界レベルにはないのが現状です。ですから一部の病院、医師に集中して手術待ちが数ヶ月、数年となり一部の患者しか恩恵を得られません。かたやお隣韓国の病院は脊椎疾患手術に特化し国内数カ所、海外の病院と合わせ年間2万件以上の手術をし、国際的にも高い評価を得て外国人患者の受け入れに積極的です。日本からも可なりの人が手術しているようです。もはや日本の医療は世界的にトップレベルと云う考えは幻想になりつつあります。韓国で出来る事は日本でも出来る筈です。それを拒むも物を排除せれば、日本の携帯電話は日本国内だけで独自の規格を設け海外メーカーの参入を拒んで来た結果世界から遅れ韓国勢に市場を取られてます。正に同じ事が今起きてます。世界的にも脊椎疾患患者が増える傾向の中、これに特化し、資源を集中して世界に出て勝負する、日本も真似すべきと思います。ただ分からないのは医師の育成をどうやってやるか?
2012.10.30 10:23
drshujisato
12/10/30のEastonさんへ

残念ですが、ご指摘の多くが本邦の脊椎外科医の現状を表しています。学会中心の医療改革には限界があると私は考えています。脊椎外科は患者目線の治療へ方向転換すべき時を迎えていると思います。そのためには患者の意識改革が医師の意識改革を求め、進めるのではないかと思います。医師の育成は、大学が中心である限り、なかなか進まないように思います。、
2012.10.30 23:56

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