腰部脊柱管狭窄症、長く付き合った末にこんなことに!

.19 2013 腰部脊柱管狭窄症 comment(1) trackback(0)
20年来の腰部脊柱管狭窄症の80代男性患者が受診された。3週間前から立てない、座れない、横になってしか食事ができない。左足は背屈不能の状態。両側のふともも後面からふくらはぎにかけて痛みとしびれが強い。排尿困難もあり。

 MRIでは、4番と5番(L4/5)に驚くばかりの脊柱管狭窄を認めた。驚くばかりとは脊柱管内が真っ黒で脳脊髄液という液体も、脊柱管内の脂肪組織も何も見えず、ただ真っ黒なのである。馬尾神経の高度の圧迫を示す所見である。高齢者の狭窄症は、その程度が半端でない場合が多い。

 長い間、不自由な生活を味わい、長生きした末の寝たきり状態である。この患者さんも一応、保存治療という名の治療を受けてきたのである。

 なぜに、ここまで放置されたのか。いや、放置ではなく、ここに至るまで無効な治療が続けられてきたのか?

この患者さんでもMD法による神経除圧術を行ったが、手術所見も半端でない。硬く厚くなった脊柱管内の黄色靭帯が薄い硬膜(馬尾神経を覆っている薄い膜で、高齢者ではさらに薄くなっていることがある)と強く癒着しており、摘出が困難であった。黄色靭帯と硬膜との癒着を剥がすと、膜が破れて馬尾神経が脱出してくる恐れが極めて高いため、癒着を剥がさず、黄色靭帯を薄くすべく、摘出を進めている最中に硬膜に穴があき、馬尾神経の1本が脱出した。通常は同時に脳脊髄液が漏れてくるのだが、狭窄が強いため漏れてこない。ここで18mmの切開を50mmに広げ、クアドラントいう開創器を用いて、創部を広げ、黄色靭帯を除去していくと硬膜の膨らみが戻り、液が漏れ出してきた。馬尾の除圧が十分であることを確認してから、脱出した馬尾を硬膜内に戻し、穴のあいた硬膜を閉鎖した。手術時間は2時間、出血量は25mlであった。
このように高齢者の脊柱管狭窄症の手術は一筋縄ではいかないものが多い。

麻酔科から冷めた患者さんの下肢症状には悪化はなく、両下肢の痛みは軽減していた。後は、歩けないために衰えた筋力回復のための積極的なリハビリが必要だ。

失った神経機能を取り戻すには長い時間とリハビリが必要なのである。元通りに歩くところまでの回復は困難であろうが、何とか自力で歩けるようになることを期待しての今回の手術であった。

保存治療から手術治療への切り替えの判断は誰が行うべきなのか。いつもながら、考えさせられた患者さんであった。

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佐藤
いつも読ませて頂いてます。

医学知識のない私でも今日の記事は怖くなります。
我慢することがどれだけ危険なことなのか。

保存療法をしつこく続ける理由はなぜなんでしょうか。
患者側としては、

@いつか自然に治る
@手術しても治らない
@手術すればよくなるが加齢が原因でどうせまた悪くなる

上記の説明?説得を受けて諦めて診察室を出て窓口で
痛み止めと湿布をもらって帰る。
この繰り返しを延々と続ける人が大多数です。

なぜ保存療法でいつまでも引っ張るのか?
先生のブログを読んでると診察室でされる説明が本音とは
思えません。
2013.09.20 09:28

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