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Failed back surgery(腰椎手術失敗)を回避できた患者

.05 2012 failed back surgery syndrome comment(21) trackback(0)
患者は60代、男性。
主訴は3年前から左足がしびれ始めた。次第に少し歩いてもしびれてきて歩けなくなった。受診の2ヵ月前から急にひどくなり仕事を休み始めた。いろいろな病院へ行ったが治らず、
私の手術を受けた方の紹介で受診された。

診察所見:左足関節の背屈力が低下しており、下腿外側から足背にしびれと知覚障害を認めた。
腰椎レントゲン撮影では、腰椎症変化が中心であったが、分離症やすべり症、側彎症はなかった。
腰椎MRIでは、脊柱管内には問題ないが、L5/S1の左側の椎間孔部から外部にかけてL5神経根の強い圧迫を認めた。

手術:腰椎症性椎間孔部、椎間孔外狭窄の診断のもと、17mmの皮膚切開で、MD法の外側アプローチで、椎間孔拡大術と椎間孔外での神経根除圧を行った。神経の圧迫は高度であった。手術時間は70分、出血量は10mlであった。

術後経過は、予想に反して、左下肢の強い痛みが軽減しなかった。始めは術後の炎症性疼痛を疑い、薬物治療を行い、経過をみた。しかし、炎症期を過ぎても痛みとしびれは続き、歩行困難の改善も不良であった。

症状は左L5神経根症である。この神経根症が発現する最も多い部位はL4/5である。しかし、この部位の脊柱管内にはL5神経根を圧迫する病変は認めなかった。残る可能性はL5/S1の椎間孔の内側部、すなわち脊柱管から椎間孔に移行して直ぐの部分しか残されていなかった。そのような目でMRIやCTを検討すると、その可能性を否定できないという結論に至った。

患者と家族に再手術の説明を行い、確信は持てないが、改善の期待はあることを伝え、手術への了承を得た。

再手術は初回手術から約50日後に行った。同じく、MD法で今度は右側から左の椎間孔内へ至り、椎間孔内に入り込んでいる上関節突起という骨を削除した。右側から進入したのは左の関節を残すためである。手術所見としては、想像以上に椎間孔内部でのL5神経根の圧迫は強かった。手術時間は50分、出血量は10mlであった。

麻酔から覚めると、下肢の痛みは激減していた。患者の言葉を借りると、術前の3割くらいに軽減しているとのことであった。術前は下肢を伸ばして、仰臥位で寝ていると、痛みが強くなっていたが、それも解消していた。

私は、この患者を症状の改善不良のまま、退院させることを何としても避けたかった。術後の症状の状態から、L5神経根の圧迫がまだ残っている可能性が否定できなかった。
それで、再手術を決定した。椎間孔周辺の病変に対しては自信を持っているつもりであったが、患者の病気の状態を読み切れていなかったことが残念無念であった。とりわけ、患者には申し訳ないことであった。一度の手術で治せたはずが、二度の手術になったのであるから。

手術で良くできると判断して、手術を行った以上、患者の症状が良くならなかった場合には、執刀医の診断や手術に問題がなかったか、徹底的に検証し、良くする可能性を追求することが脊椎外科医の責務と改めて知らされた経験であった。Failed back surgeryにしてはならないとの強いこだわりを持ち続けたい。

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手術が待てないと言って、他の病院で腰の手術を受け、症状改善せず、戻ってきた患者

.31 2012 failed back surgery syndrome comment(0) trackback(0)
私は毎週7件の手術をこなしていますが、手術希望者が多く、手術待ちは半年以上になっています。長い間、痛みや生活の不自由に泣き、耐えてきた患者にとって、私から手術で良くなると説明を受けたものの、その手術まで半年以上も待たなければならないことは大変苦痛なことであろうと私も心が痛みます。
 
そん中で、手術が待ちきれず他の病院へ紹介を希望される患者がいます。密かに転院する患者もいます。そのような患者の中に他の病院で手術を受けたが、症状の改善が得られなかったと、私の所に戻ってくる患者がおられます。

手術が失敗に終わり、戻って来られる患者の多くは、腰椎症性の椎間孔狭窄や椎間孔外狭窄、さらに外側型ヘルニアや超外側型ヘルニアです。これらの病変は私がブログで繰り返し述べてきたように、まだまだ正確な診断と手術治療が行われていないのが実状です。

腰の病気の診断は頚椎や胸椎よりもはるかに複雑で困難を伴うのです。

今回戻ってきた患者は、脊柱管狭窄症として除圧術を受けていました。原因は椎間孔狭窄であり、まったく的外れの手術が行われたわけですから、良くなるはずなどありません。
私は、再手術を行う事を決めました。

一般の方々に訴えたいことは、医療レベルは医師による大きな格差が厳然として存在し、どこでも誰でもが同じ均質な医療を提供しているわけではないことを前提に納得できる医師選びをしていただきたいということです。

やり直しのきく手術失敗ならまだ良いのですが、やり直しのきかない失敗もありますので、くれぐれも慎重に判断することをお勧め致します。


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Failed back surgery syndrome(手術後も症状改善が不良あるいは悪化した状態)の大多数はiatrogenic syndrome(医原性症候群)と考える視点

.19 2012 failed back surgery syndrome comment(1) trackback(0)
Failed back surgery syndrome(FBSS)とは、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などの変性腰椎疾患の術後も症状の改善が得られない、あるいは悪化した状態を指します。

FBSSの発生には多数の要因が関係していると考えられています。その要因としては、診断ミス、手術ミス、患者の神経心理学的問題、生活・社会的背景などが挙げられており、これら種々の要因が複雑に絡んだ症候群とされているのです。

私は脊椎外科医ですが、私の経験からFBSSは医師の側の要因が大きく関係していると考えてきました。自分が手術した患者の中には他の医師によるFBSSの患者が少なくありません。勿論、私が手術した患者の中にもFBSSは存在しています。その原因は別の機会に紹介したいと思います。

他から来たFBSSの多くは誤診です。手術された部位とは別の部位に真の症状の原因がある例が多く見られました。例えば、脊柱管内で手術されているが、真の原因は椎間孔周辺にある症例が多く見られました。

次に多いのが不完全な手術です。腰部脊柱管狭窄を例にとると脊柱管の中心部の除圧はされているが、外側部の除圧が不十分な場合です。

さらに、腰椎すべり症、不安定椎に対する腰椎固定術後の症状悪化例です。腰背部の術後不快な愁訴は固定術に多くみられます。手術操作による医原性の疼痛というべきものです。この固定術に伴うFBSSは組織破壊の大きな術式に多い傾向が見られます。私が最小侵襲固定術にこだわる理由はまさにここにあるのです。医原性疼痛をなくすことが最小侵襲手術の最大の目標なのです。

FBSSではありませんが、原因不明として対症治療しかないと診断されていた患者の多くで脊柱管外側や椎間孔周辺部の変性病変が症状に関係しており、それらの症状は手術により改善治癒しました。

私の経験からは、FBSSの原因として、精神・心理学的要因や家庭・生活要因が強く関係していると判断されている患者の多くは、実際には医師による不適切な診療がその根源にあると推測しています。

今後、FBSSの多くは不適切な保存治療や手術治療に基づくものであることを私のデーターで証明していきたいと考えています。

腰椎変性疾患の治療に成功することは、今日でも難しい専門的課題を克服することなしには成し得ないと言っても過言でありません。腰椎変性疾患はFBSSが発生するに十分過ぎる程、複雑で困難な問題を内在した疾患なのです。


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