著者 柴田美智子ー脳神経外科の脊椎手術「首と腰の狭窄症手術体験記」が出版される。

.12 2017 腰部脊柱管狭窄症 comment(3) trackback(0)
首と腰の狭窄症手術体験記

頚椎と腰椎の狭窄症手術を受けられ、active lifeを取り戻された柴田美智子さんの体験記が出版されました。
本書では、一患者さんが不安や葛藤を乗り越えて、どのように手術治療に至ったか、そのプロセスが詳述されています。
柴田さんはご自身の体験と手術治療に関する多くの学習・情報収集から、著書の中で手術成功には三つの秘訣があると述べています。その一つはよい医療との出会い、二つ目は手術の時期、三つ目はリハビリ。脊椎手術を専門にする私も全く同感です。
また、私の拙書「腰椎手術はこわくない」から幾つかの文章が引用されており、大変光栄に思います。
本書はこれから頚椎や腰椎の手術を受けられる患者さんにとって大変参考になるほか、脊椎手術を専門にする医師にとっても
患者心理を知り、適切なインフォームドコンセントと手術治療を行うために極めて有用と思います。
                                                     「脊椎外科医の戦場」佐藤 秀次

17/12/06の東京KE男(60歳)さんへの回答  Re: 固定術の後遺症軽減について

.12 2017 脊椎疾患 comment(0) trackback(0)

コメントへの回答送信ができませんので、ここで回答致します。


17/12/06の東京KE男(60歳) さんへ  Re: 固定術の後遺症軽減について

 

術後経過がよくて、よかったですね。

ご質問の件ですが、今回の固定術を含めて計3回の手術を受けたことになりますので、

腰部の筋肉は萎縮し、硬直していると思います。

そのための腰痛である可能性が高いです。

お風呂で温めたり、筋の緊張を緩めることで痛みが軽減されることからも、そう考えて良いでしょう。

ロキソニンは消炎鎮痛剤ですので、この種の痛みには余り効果は期待できません。

痛みに対する対策ですが、決定的なものはなく、徐々に筋力をつけ、硬直した筋肉を和らげていくことです。

焦りは禁物です。頑張って下さい。

 

FROM SHUJI SATO

名古屋でヘルニア手術を受けられた52歳男性への回答

.27 2017 脊椎疾患 comment(0) trackback(0)


病院名が書かれていたので、これを削除しようとしていて、質問を削除してしまいましたので、

ここで回答致します。

質問:はじめまして。52歳の男性です。
11/13
に椎間板ヘルニアL3/L4の顕微鏡での手術を名古屋で有名な・・・・にて手術を受けました。
術後は全く痛みもなく喜んで退院したのが16日。しかし20日から以前のような足に激痛が。
そして今日の21日はヘルニアの時よりもひどい痛みが足にあります。
先生のブログに術後3日くらいすると炎症により痛みが出ると書いてありますが
これもその様な痛みなのでしょうか?術後に全く痛くなかっただけに再発なのか不安で仕方がありません。

回答:術後の時間経過からみて、炎症による痛みの可能性は低いように思います。ヘルニアの再発は時期を問わず起こり得ますので、もし痛みが持続するなら再発を疑う必要があるでしょうね。MRIで診断できますので長引くなら検査を受けることをお勧めします。それではお大事に。

FROM SHUJI SATO

 

腰椎手術は成功したが、良くならないのは精神的な問題とされ、真の原因を求めて 遠く県外から受診された高齢女性の一人旅

.19 2017 脊椎疾患 comment(64) trackback(0)

 「坐骨神経痛の原因は椎間孔狭窄症」の診断で、右L5/S1の椎間孔内でL5神経根除圧術とL5/S1のペディクルスクリュー固定術を受けたが、術後症状の改善が得られず、次第に悪化していると訴え、81歳の女性が遠く県外から受診されました。


執刀医から手術は成功しており、痛みが良くならないのは精神的な問題とされ、色々と強い薬を投与され、その副作用にも苦しんでこられた。セカンドオピニオンも必要ないと言われ、無効な治療が続けられてきたと言う。


私の本「腰椎手術はこわくない」を読まれ、何としても真の原因が知りたいと、1年がかりで受診が実現したと言う。精神的なものではない、必ず解き明かされない原因があるはずと、その強い思いが施設住まいの高齢女性を動かしたのである。


私は話を聞きながら、やるせない気持ちになりました。患者さんの症状についての説明を聞きながら、脊柱管狭窄症の症状、それもL4/5の狭窄症と診断できたからです。MRI画像では、診断されなかったL4/5の脊柱管狭窄症の所見が認められました。確かに、脊柱管は全体としては狭くないが椎間関節の変形肥大によって脊柱管外側部が狭くなっており、そこでL5神経根が絞扼されていました。狭窄は最初に症状が発現した右側で強く、左側はそれよりも軽い状態でした。


L5/S1でのL5神経根の除圧と固定術が無効であったのは、真の原因部位が違っていたためです。さらにL5/S1で固定されたために、隣接椎間であるL4/5に負荷が増し、脊柱管絞窄が進行し、症状が悪化したと診断致しました。


患者さんは原因が解明され、執刀医から精神的なものとあしらわれてきた惨めで不安な気持ちから、やっと抜け出せることに安堵された様子でした。そして、当院での手術を予約されていきました。辛い痛みから解放されたくて、高齢にも関わらず大手術を受けることに同意したのに、最後には心の問題とされてしまい、どれほど納得いかなかったことか、胸の痛む事例でした。それにしても私の本を買われ、独学して受診につなげられた知力と行動力に感服しました。なんとしても良くして差し上げなければ、私ども脊椎外科医の存在意義はないでしょう。

「人生における腰椎変性疾患の始まりから終わりまで」の連載を開始します。

.09 2017 脊椎疾患 comment(2) trackback(0)

私は脊椎外科医として、「腰椎変性疾患の真理と全体像」を知ることに私の全エネルギーを費やしてきたと言っても過言でありません。健康に何不自由なく生活していた人々が「ある時点」から腰や下肢の痛みやしびれに悩まされ始め、生活の質が損なわれていく。「ある時点」とは、それは人によってぎっくり腰であったり、椅子に長くすわっているとじわっと強くなってくる腰痛であったり、歩いていると始まる下肢の突っ張り感や痛み、しびれであったりと様々です。しかし、多くは始めからその人の生活を強く損なうわけではなく、だましだまし付き合える程度のものが多いようです。この時期には、無理をしてでもやるべきことはやっていますので、本人が訴えない限り周囲が気づくことはありません。仮に話したとしても、年齢(とし)の性と一笑されるのが落ちでしょう。それほど、腰椎変性疾患の初期は病気としての特徴や深刻さに欠けるため、ありふれた老いの徴候としてしか受けとめられていないのが普通です。

 

このような腰椎変性疾患を人の成長と老化の全課程の中でどう理解し、どう対処すべきかは長く私が抱いてきた脊椎外科医としての研究テーマです。これまで、私は小学生の子供から90歳を越える超高齢者まで、多数の腰椎変性疾患の治療を経験し、「腰椎変性疾患の真理と人生を通した全体像」を見てきました。次回から、その結果を皆さんに不定期ですが連載で紹介したいと考えています。腰椎変性疾患は様々な原因が重なり合ういわば大きな森のような存在です。従って、森をなす木の一本一本の姿を知ることこそが森の全体すなわち真理を知ることに繋がるはずです。第1回の予定は、腰椎変性疾患の中でも若い人に多い「椎間板ヘルニアの真理」についてです。