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原因不明の下肢痛で受診した超外側型椎間板ヘルニアの男性患者

.15 2012 超外側型椎間板ヘルニア comment(3) trackback(0)
患者は45歳、男性。
 右下肢の痛みのため、約1年間、保存治療を受けていたが、原因は不明とされていた。
 神経学的には、右L4神経根の支配領域、すなわち、左下腿内側に痛みとしびれを認めた。
 筋力低下はないが、右膝蓋腱反射の低下を認めた。

症状からは、明らかに左L4神経根症と診断された。

術前MRI矢状断では、脊柱管内にヘルニアや狭窄症などの所見はなし。
  左L4-5  FLDH  術前MRI 矢状断

術前MRI 横断像では、脊柱管内には病的所見を認めなかった。このため、原因不明とされたと思われる。
しかし、赤矢印で示す、右L4/5の超外側型ヘルニアを認めた。
   左L4-5  FLDH  術前MRI 横断

術前MRI 冠状断像で、右L4/5の超外側型ヘルニアが明らかである(赤矢印)。青矢印は右L4神経根が外方へ圧排されている所見を示す。黄色矢印で示す左L4神経根は椎間孔外へ斜め下へ直線的に走行するのがわかる。
   左L4-5  FLDH  術前MRI 冠状断

MD法による右外側アプローチにより、皮膚切開18mmでヘルニア摘出を行った。手術時間は1時間10分、出血量は20mlであった。
術後MRI 横断像ではヘルニアが摘出されているのがわかる。
   左L4-5  FLDH  術後MRI 横断断

術後MRI冠状断像では、ヘルニアの摘出とL4神経根の走行が正常化している。
   左L4-5  FLDH  術後MRI 冠状断

術後、症状は改善して退院された。

この患者のように、脊柱管内にMRIで病的所見がなければ、異常なしと診断されてしまうことが多い。この患者では、下肢の症状があり、それは明らかに右L4神経根の症状であり、それならば、右L3/4の脊柱管内かL4/5の椎間孔内、あるいは椎間孔外に原因病変があるはずである。このような診断の仕方をしない限り、この超外側型ヘルニアを診断することはできないであろう。誤診される原因で多いのがこの超外側型ヘルニアである。