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楽天の星野監督が胸椎黄色靭帯骨化症と腰椎椎間板ヘルニアとの報道にコメントします。

.28 2014 胸椎黄色靭帯骨化症 comment(19) trackback(0)
楽天の星野監督が胸椎黄色靭帯骨化症と腰椎椎間板ヘルニアで戦線離脱との報道にコメントします。

胸椎黄色靭帯骨化症は頚椎に多い後縦靭帯骨化症と同様に靱帯が厚くなり骨化して脊髄を圧迫することで脊髄障害を起こす難病です。原因は不明です。

黄色靱帯骨化は長い年月かけて脊髄を徐々に圧迫していきますので、靱帯骨化が始まっても、しばらくは脊髄の症状はでません。数年間、無症状のこともあります。
脊髄の症状が発現するのは、脊髄がある程度以上に圧迫されてからであり、症状が出始めると進行は早い傾向があります。症状としては、足のしびれや麻痺であり、脊髄の圧迫が高度になると歩行障害が進み、排尿障害や大便の失禁などが起こることもあります。

黄色靱帯骨化症の原因は不明ですが、治療法はあります。残念ですが、薬物治療は無効です。唯一有効な治療法は、脊髄を圧迫する厚く骨化した黄色靭帯を摘出することです。黄色靭帯骨化症は厚く骨化した黄色靭帯が脊髄の両側で後外側から圧迫して、脊髄を障害していくので、これを摘出することが唯一の根本的治療です。

手術治療のタイミングは、従来、脊髄障害がそれなりに進んだ場合とされてきました。しかし、私はそうは思いません。私ども外科医にできることは骨化した黄色靭帯を摘出して、脊髄の圧迫を取り除くことです。障害をうけた脊髄を治す手術などありません。大事なことは、脊髄の機能が回復し得る段階で手術に臨むことです。そうすれば、手術によって脊髄の回復力を引き出すことができ、併せて症状の進行を防止できます。

治療の理屈は上記した通りですが、なかなか良いタイミングで専門医を受診する患者は少ないのが現実です。脊髄の障害が進んでから専門医を受診し、手術を受ける患者が多いため、未だに術後症状の改善は余り芳しくないことが多いです。
また、症状が軽いと、患者はなかなか手術に踏み切ることができません。このあたりに、治療法があるにも関わらず、障害を残す患者が多いのが胸椎黄色靭帯骨化症の特徴と言えます。診断がつかず、原因不明のままに、障害が進む患者も少なくありません。

私は、胸椎黄色靭帯骨化症にも最小侵襲手術を行っています。1~2椎間の黄色靭帯骨化症ではMD法を行っていますし、それ以上では、クアドラントという低侵襲用の開創器と手術顕微鏡を用いています。

この病気は手術が成功しても、術後の回復程度を決めるのは、脊髄の回復力が良かったか悪かったかです。排尿障害がでるまで待っていたのでは、回復の機会を逃してしまう危険性があります。

胸椎黄色靭帯骨化症は頚椎や腰椎にも同時に背椎変性疾患を合併していることがあります。星野監督には腰椎椎間板ヘルニアもあるとのこと。現在の症状の原因は胸椎黄色靭帯骨化症なのか、腰椎椎間板ヘルニアなのか、両者なのか、それとも別の問題も関係しているのか、マスコミ情報からは知る由しもありませんが、私は胸椎黄色靭帯骨化症と腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を合併した患者では、MD法で同時手術を行った患者もいます。

背椎疾患で大事なことは、現在の症状の原因を正確に診断し、手術方法と手術のタイミングを決定することだと思います。

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