腰椎変性疾患において、手術治療のタイミングの重要性を、いつも私が強調する一番の理由は、障害を受けて神経後遺症状を残した神経を治す有効な治療法を私たちは持たないことにあります。
手術などを含み、現在我々が手にする様々な治療法は神経後遺症状に対して、回復的な効果を持つことは期待できません。末梢神経では、神経吻合によって運動機能の回復が期待できる場合があります。しかし、頚椎や腰椎では、現代の医学においても障害を受け、後遺症状を残した脊髄や神経根の機能回復を図る治療法はありません。再生医療を含めた、様々な取り組みは進められていますが、その恩恵を被ることができるのは、まだ先の話しです。
だからこそ、頚椎や、腰椎の疾患においては、神経機能の回復が期待できる段階で根本的原因を取り除く手術が必要なのです。手術が神経を治すわけではなく、障害を受けた神経の回復できる状態を作ることしかできません。つまり、神経機能の回復性がどれだけ良いか悪くなっているかで、手術治療を含む各種の治療効果が決まります。
「溺れる者は藁をもつかむ」の諺にあるように、治療に行き詰まった人々は効果が有ると言われる治療法にしがみつきます。しかし、奇跡など起こりません。時間とお金を失うだけでしょう。もっと大きく失う物は、希望です。もともと与えられようのない希望にしがみつくことで、絶望を招く恐れがあります。冷たい言い方かもしれませんが、受け入れ、乗り越えるしかない現実もあることを踏まえなくてはならないと思います。このようなつらい人生にしないためにも、適切な診断と治療が脊椎変性疾患では特に重要です。なぜなら、時期さえ良ければ、完治させられる可能性のある病気だからです。
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