遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
昨年は、前半は病気治療と療養、後半は仕事復帰の一年でした。
復帰後は、徐々に手術を増やしていき、一昨年から待って頂いていた手術を含めて
約80件の手術を行うことができました。
本年は既に5件の手術を行っており、完全復帰を果たしております。
本年も医療相談を続けながら、ブログ訪問者に役立つ情報・記事を載せていきたいと思います。
それでは、今年最初の記事は「腰椎変性疾患による痛み」についてです。
腰痛や下肢痛の原因を特定することは困難なことが多いですが、痛みの特徴からその原因に迫ることが可能です。
従って、各種の腰椎変性疾患の痛みの特徴を知っておくことが自己診断に役立ちます。
今回は腰椎椎間板ヘルニアによる痛みの特徴を紹介します。過去の記事も参考にしてください。
1)腰椎椎間板ヘルニアによる痛みの特徴
通常はぎっくり腰と呼ばれる急性腰痛が特徴です。きっかけは色々です。腰を屈めて、下の物を持ち上げようとした瞬間や肉体労働や運動などと関連して発症することが多いですが、特にきっかけがみられないこともあります。ぎっくり腰は、二度三度と繰り返す人が少なくありません。ぎっくり腰を繰り返しながら、椎間板ヘルニアは進行します。
椎間板ヘルニアの痛みは、通常は持続性であり、咳やくしゃみで強くなり、動いたり、座ったりが困難になります。
多くの患者さんでは、横になり身体をエビのように丸めてじっとしている姿勢が痛みを和らげます。
腰痛のほか、神経根を圧迫刺激すると臀部や太もも後部や外側に痛みを伴い、この痛みは坐骨神経痛と呼ばれます。さらに、神経根への影響が強いと、脛や足にも痛みが広がります。
ヘルニアの急性期(発症後1~2週間)は、激痛のため患者さんは歩行困難になります。急性期を脱すると、ヘルニアによる痛みは座位よりも立位や歩行で軽く感じるようになります。
ヘルニアのタイプによっては、腰痛はなく坐骨神経痛が強い患者さんや、激痛に足の感覚障害や運動障害を伴う患者さんもおられます。ヘルニアによる激痛は通常は片側ですが、両側に起こる患者さんもおられます。
以上、椎間板ヘルニアによる腰痛をまとめると、急性発症であること、一定期間持続性であること、繰り返す傾向があること、痛みを増強させたり軽減させたりする要因があること、急性期と慢性期では痛みの性状が異なること、神経根症状を伴う場合があることなどです。さらに詳しくは、私の著書「腰椎手術はこわくない」で説明していますので参考にしてください。
次回は「腰部脊柱管狭窄症による痛み」について説明します。