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脊椎の最小侵襲手術は「愛よりいでた手術」

.30 2011 腰椎最小侵襲手術 comment(0) trackback(0)
私は脊椎の最小侵襲手術(可能な限り正常組織を傷めずに、病気を治す手術)に長く取り組んできた。脊髄腫瘍も含め、椎間板ヘルニア、狭窄症、すべり症などの手術は全て最小侵襲手術を行っている。腰椎のみならず、頸椎、胸椎でもそうだ。そんな私に対して同業者はhigh riskを侵す脳神経外科医と見ているようだ。しかし、私は自分のことを患者のためにhigh riskを厭わない脊椎外科医と内心ではそう思っている。病気を治すという目的が同じなら、患者はより痛みの少ない、身体に負担の少ない、不自由な期間の短い、手術を受けたいと願うことはごく自然のことだ。私は脊椎手術の分野で、患者が求める最小侵襲手術を改良実践してきた。麻酔から覚めて、創部の痛みを感じない患者と普通の会話ができる喜びは従来の手術では味わえなかった事だ。切った痛みがないと、患者は手術前の症状が手術によってどうなっているか、すぐに実感できる。患者は術後直ぐに、手術の成功を感じ取ることができるのだ。このことは患者・家族の執刀医への信頼感を強め、その後の治療が安心感と満足を伴うものになる。もし、切った痛みが強く、患者の全神経が痛みに集中するなら、術前症状の評価は難しく、痛み自体が患者・家族を不安にさせる。ベッドに寝たきり状態は患者に耐え難い精神的苦痛も与えることになる。脊椎手術では脊椎の部分的な完治はあっても、脊椎全体としての完治などありはしないのだ。つまり、腰ヘルニアを摘出して、そこが治っても、後日、別の場所にヘルニアが起こるかも知れない。狭窄症も同様である。すべり症を固定して、そこが完治しても他の部位に又すべり症が発生することもある。このような脊椎の変性疾患には、もう二度と手術が必要な状態が生じることがないといった意味での完治は存在しないのである。完治はあくまでも部分的な完治にすぎない。このことは脊椎変性疾患では再手術、再々手術が必要になる可能性が高いことを意味する。従って、初めに受けた手術の苦痛が大きいと患者は二度目の手術には二の足を踏む。しかし、最小侵襲手術を経験した患者は次の手術が必要な事態に遭遇しても、積極的に手術治療に立ち向かうことが出来る。私は、最小侵襲手術の大きな意義がここにこそあると考えている。脊椎変性疾患という加齢と共に進行し、完治することのない病に対しては、繰り返し行うことのできる手術、繰り返し受けることのしやすい手術が必要である。脊椎の最小侵襲手術は人々の生活の質を守り続けたいという「愛からいでた手術」なのである。


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