雑誌の立ち読みをしていると、腰痛や腰ヘルニア、狭窄症などの記事がよく目につく。たまに手にとってみる。一般の方々にどんな情報が流されているかに興味があるからです。
ぱらぱらとページをめくっていると、病気の本質論はなく、ただこうしたら良くなる、ああしたら良くなるという表層的な記事が殆どで、思わず苦笑いしてしまう。また、雑誌社の良い収入源になる記事領域であろうと皮肉さえ口をつく。
腰椎の病気の原因、病態、進行度、個々の患者の個体性や特殊性が把握されずに行われる治療は宝クジを引くように不確実なものだ。勿論、宝クジよりも当たる確立は高いわけではある。
どんな腰痛や下肢痛が良くなりにくいか、私はこの課題の解明に長い期間を費やしてきた。患者の症状の推移と神経学的評価、レントゲン撮影やMRI,CTなどの検査所見と手術所見、術後の症状経過などを比較・吟味することで、治りにくい腰痛や下肢痛の正体がわかってきた。
他の医療機関で長期に保存治療を受けても良くならず、悪化さえしている患者が術後良くなるのを見て、どんな患者の腰が良くなりにくいのか、どういう手術をすれば良くなるのかについて多くのヒントが与えられた。
一般的に発症後3ヵ月以上過ぎると保存治療による治癒率は低下していく。たとえ痛みがとれてもしびれが残ることが多くなる。腰ヘルニアも狭窄症もすべり症もどんな症状がなぜ起こり、自然に良くなる場合と良くならない場合とでその違いはどこにあるのか、この病気の本質を踏まえた治療が極めて重要なのである。私はこのことは繰り返しブログで述べてきた。
慢性化する腰痛や下肢痛は腰椎の変形を引き起こす。それは腰椎の後彎変形であったり、側弯変形であったりする。この腰椎の変形が次の腰椎の新たな問題を引き起こすことになる。すなわち、悪循環が起こり、腰椎の病気は進行・悪化するわけです。こうして、次第に病気が複雑になり、一筋縄では治せなくなっていくのです。
私は70~80歳代の腰椎手術を多数手掛けてきたが、これらの方々では通常は慢性化し複雑になった腰椎病変と加齢変化とによって、どこを治せば症状の改善につながるのか、その判断さえ困難、あるいは不可能になっているのです。殆どの脊椎外科医はこのような高齢者の腰椎の手術治療には消極的か、あるいは手術適応なしと判断しています。
しかし、私はそうは思いません。患者の症状の発症機転が解明できるなら、手術によって症状の改善を図ることが可能なのです。これら高齢者の腰椎と若い人の腰椎を比較すると、若い人の腰椎の病気は通常は単純なもので、手術治療でよくなるのが当然と言えるのです。だから、慢性化する腰椎病変は若い時期に手術により根治させるべきが私の持論です。
腰の病気の本質への理解が深まれば治って当たり前の時代が到来すると私は確信しています。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。応援クリックお願いいたします。 ↓ ↓
