20年来の腰痛歴と次第に進行する両側大腿部から下腿部の痛みとしびれ、冷感があり、立位保持や歩行が困難になってきたというのが主訴である。腰を曲げ、杖をついて短い移動がかろうじて可能という状態。
神経学的検査では、両側のL5神経根が支配する筋力低下と知覚障害が明らかであった。
腰椎レントゲン撮影では、腰椎症による側彎変形あり。
腰椎MRIでは、腰椎4番と5番の間(L4/5)の高度の脊柱管狭窄と椎間孔狭窄を認めた。
患者・家族の強い希望により、手術を行った。手術は17mmの切開によるMD法により
脊柱管内のL5神経根と馬尾、椎間孔内のL4神経根を両側で除圧した。正中の左側から進入して、両側を除圧する方法である。手術時間は1時間10分、出血量は15mlであった。
術後、麻酔からの覚めは良く、両足の動きも良く、何よりも術前には両下肢を伸ばして仰向けに寝ていられなかったのが、それが出来るようになっている。これが神経の圧迫がきちっと除去された証拠である。明日からは歩行開始できるだろう。腰痛も訴えなし。
私どもの病院では、80~90歳代の腰部脊柱管狭窄症の手術が増加している。手術を諦めていた、或いは諦めさせられていた超高齢者がこの世の最終章に来て、もう一度歩きたい、痛みのない生活を送りたいと切望するようになったからである。そして、家族のそうさせて上げたいという愛情が超高齢者の手術を可能にした。しかし、患者本人は手術を希望するが、家族の反対で諦めなければならない超高齢者がまだまだ多いのが現状である。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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