昨年の腰椎手術263例のうち、脊柱管狭窄症は95例(36%)でした。
年齢と性別は
30歳代: 2例 男: 2例、女:0例
40歳代: 6例 男: 4例、女:2例
50歳代: 7例 男: 4例、女:3例
60歳代:30例 男:25例、女:5例
70歳代:40例 男: 24例、女:16例
80歳代: 8例 男: 5例、女:3例
90歳代: 2例 男: 0例、女:2例
手術椎間数
1椎間:44例
2椎間:45例
3椎間: 6例
手術椎間(総数151椎間)
L1/2 : 1例
L2/3 : 13例
L3/4 : 34例
L4/5 : 83例
L5/S1 : 20例:
合併病変:
椎間板ヘルニア: 12例
椎間孔狭窄: 11例
椎間孔外狭窄: 1例
椎間関節軟骨ヘルニア: 1例
それぞれの合併病変に対して処理を行った。椎間孔狭窄に対しては、椎間孔拡大術を施行した。
術中に発生した問題:5例(5%)
1) 硬膜が破れ、馬尾が脱出したため縫合閉鎖したのは2例
2) 硬膜から液がもれたのが3例
対処法:
1) では、17mmの切開を30mmに広げ、Quadrant開創器を用いて、
硬膜を広く露出し、馬尾神経を硬膜内に戻して縫合閉鎖した。
2)では、液の漏れる硬膜の穴をフィブリン糊を用いて閉鎖した。
硬膜が破れ、馬尾が脱出したのは高度狭窄症例で馬尾弛緩を伴っていた患者であった。いずれの患者も問題を残さず退院した
手術で症状の悪化した症例はなく、全例で症状と神経機能の改善が得られた。
腰部脊柱管絞窄症の多くは、腰椎症を発生基盤とすることから、加齢に比例して患者は増加する。70歳以上の手術例は50例あり、全体の53%を占めた。80歳以上は10例で11%であった。
私の行うMD法は手術時間が短く、出血量は少ないため、全身麻酔が可能な患者なら、年齢を問わずに行うことが可能である。ただし、高齢者の腰椎は変形が進んでいたり、多椎間に病変がみられたりするため、症状の原因部位を特定することに困難を伴うことが多い。この診断ができなければ、手術で症状を良くすることはできない。
私は、2椎間でも、3椎間でも除圧が必要な患者では、それぞれの部位に小切開を加えて、神経の除圧を行う。1椎間で1時間、2椎間で1時間30分、3椎間で2時間が平均手術時間である。
また、椎間板ヘルニアや椎間孔狭窄や椎間孔外狭窄を合併している患者では、一度の手術ですべての処置を行っている。
手術成績は良好であり、歩行障害の改善が特に良好である。下肢のしびれは患者個々に回復のための時間と程度は異なる。手術までに神経障害が進行していた患者では下肢の末梢にしびれが残ったり、神経障害性の痛みが残ったりする傾向がある。
治療で重要なことは、保存治療に固執し過ぎて、神経障害を進めてしまうと、神経症状の改善は不良になることである。従って、保存治療か、手術治療かの判断は症状の進行程度を見極めて行うことが重要である。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。応援クリックお願いいたします。