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腰椎変性疾患の治療に対するQ&Aの連載を始めます:Q1-Q4

.30 2014 腰椎変性疾患 comment(0) trackback(0)
私の外来を受診される患者さんがよく質問されることとそれに対する私の回答を紹介します。

Q1:腰椎と腰椎の間の椎間板が狭くなり、骨同士が接近しているために腰痛が出ると言われたのですが、本当ですか?

A1:椎間板腔(椎間板の高さ)が狭くなった状態があるからと言って、腰痛は起こりません。それは加齢変化に過ぎま
せん。もちろん、椎間板腔が狭くなる過程で一時的に腰痛が起こり、それを繰り返すことはあり得ますが、慢性痛になることはありません。


Q2:お尻から太ももに痛みがあり、坐骨神経痛といわれ、ブロックや薬物治療で治ると言われ、治療を続けてきたのです  が、一向に痛みが引いていかないのですが、このままの治療を続けていていいのでしょうか?

A2:坐骨神経痛は正確には病名ではなく、必ずその原因があります。原因には、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎   症、すべり症、分離症、腫瘍や感染症など種々あります。坐骨神経痛の原因を診断して、その原因に対する治療を行う必要があります。椎間板ヘルニアや腰椎症などでは、身体の治癒力で自然に良くなることが多いので、ブロックや薬りなどの対症治療で治ったと思われる患者さんが多いのですが、対症治療は自然治癒するまでの間の痛み軽減策に過ぎないと理解しておくことが必要です。従って、対症治療を続けていても、改善が進まない患者さんでは、その原因を診断して原因に対する治療が必要です。


Q3:椎間板ヘルニアと診断され、医師から運動が必要といわれ、歩いたり、ストレッチングなどを行っているのですが、痛みは却って悪くなるように思われます。このまま運動を続けなければならないのでしょうか?

A3:椎間板ヘルニアは重症度が患者によって大きく異なります。ヘルニアによって神経根が強く圧迫されるほど、腰痛や下肢の痛みは腰の動きや腰への荷重の影響を強く受けます。痛みが強くなるのは、神経根が機械的な刺激を受け、炎症を強めるためです。従って、痛みの強い時期の運動療法は間違いです。この時期は安静を保ち、消炎鎮痛剤などによる治療が必要です。


Q4:坐骨神経痛が強く、医師から薬を処方してもらっているのですが、一向に効果を感じません。もっと、痛みに効く薬はないのでしょうか?

A4:最近では、トラムセットやリリカなどの鎮痛作用の強い薬や神経障害性の痛みに効果の高い薬が、通常の消炎鎮痛剤
の外に使えるようなり、炎症性の痛みに対する薬物治療の有効性はたいへん高くなりました。しかし、これらの薬剤で痛みがコントロールできるか否かは生活の仕方と大きく関係します。つまり、これらの薬を服用しながら、普通に仕事を続けたり、運動を行っていると、薬の鎮痛作用よりも痛みを誘発する側が優位になりますので、薬で痛みをコントロールできない状態になります。従って、痛みの強い時期には、服薬とともに安静を保つことが必要です。安静を保てないと薬による痛みのコントロールは困難になります。また、薬で痛みが軽減されると、つい動き過ぎてしまうので痛みが再燃するのです。痛みを起こす根本的な原因が良くなるまでは、痛みを起こす局所の安静を保つことが必要なことは腰に限らず大事なことです。運動療法は痛みの急性期の治療法ではなく、痛みの再発予防のために必要なのです。


今回はQ1~Q4までとしますが、このようなQ&Aをこれから連載していきます。もし、一般の方々からみて、これはどうなのかという疑問・質問があればコメントとして寄せていただければ回答していきます。ただし、腰椎変性疾患の治療に対する疑問への答えを発見したいと私のブログを訪れる方々に役立つ内容のものに限定し、選択させていたただきますことを予めお願いしておきます。

腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。1日1クリックずつ応援お願いいたします。

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