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腰椎変性疾患による馬尾型と神経根型の痛みとしびれの特徴

.26 2015 痛みとしびれにおける馬尾と神経根の違い comment(33) trackback(0)
 馬尾では痛みではなくしびれ(ぴりぴり、びりびり)が特徴です。始めは、両側の足先に始まり、足底、足背に広がり、次第に下肢後面を上行するようになります。進むと大腿・下腿後部から臀部、肛門周囲へと及ぶようになります。馬尾症状は左右対称的に足先から臀部に向かって上行することが特徴です。しびれと並行して、間欠性跛行が進行します。両足のしびれの段階では、糖尿病性神経障害と診断されている場合が少なくありません。腰椎(L4/5が最も多い)で馬尾が強く絞扼されると、最終的には歩行困難となり、排尿障害や大便の失禁が起こるようになります。

 神経根では、痛みが強いのが特徴です。坐骨神経痛という形を取ることが多く、下肢の痛みやしびれは神経根の皮膚支配領域に発現します。神経根の皮膚支配領域については私の著書「腰椎手術はこわくない」で詳しく書いてあります。普通は片方のみのことが多いですが、両側でも左右差を認めることが多いです。馬尾型と異なり、根性痛といわれる辛い痛みが腰や臀部・大腿に発現するのが神経根型の特徴です。

 馬尾型と神経根型の両方が合併する場合もあります。馬尾型のしびれと神経根型の根性痛が共存します。

間欠性跛行は、馬尾型では両側で起こり、神経根型では通常は片側ですが、両側で起こることがあります。

上記した馬尾型と神経根型の診断は画像ではできません。患者さんの症状の問診と私は人体図に痛みは赤色、
しびれは青色で患者さん自身に塗り分けてもらっています。これが最も重要な情報と私は考えています。

なぜなら、症状から馬尾型と神経根型の区別をつけることで、画像の読み方が決まるからです。

このように患者さんの症状を詳細に把握することなしには、正確な原因診断はできないことを知っておいてください。