49歳女性からの質問
実名と思われる名前が書かれていましたので、名を伏せ、ここで回答させていただきます。
腰椎分離すべり症ボルト固定術を第五と仙骨に受けました。
初めまして、平成27年3月3日に第五と仙骨に腰椎分離すべり症ボルト固定術を受けた49歳の女性です。分離すべり症と診断されたのが7、8年前くらいでその頃はマッサージや痛み止めの駐車などで大丈夫だったのですが今年に入ってからは痛みが悪化、買い物へ行っても10㍍も歩けずブロック注射も効かなくなり手術に踏み切りました。金属アレルギーもありニッケルとパラジウムに反応か出ていたので違う物を入れたとのことです。術後何でもなかった左足が完全に麻痺して動かず手術成功と言われましたが凄く不安でたまりませんでした。入院期間中に左足も動かせる様になりましたが痛みを伴う強い痺れに退院した現在も苦しまされております、更に左足は甲の方から足首まで爪先足裏まで範囲も広がり主治医につたえましたが左側も強く圧迫されていたので想定内だとしか言ってもらえず痛み止めのノイロレトロビン、ロキソプロフェン、レパミドを服用してますが効いてる感じはなく安定剤エチゾラム1mgを一日三回飲んでます。イライラや不安もあるので飲む事で少し気持ちが落ち着きます。硬性コルセットから5月19日から軟性コルセットに変わりましたが装着して歩く度にお尻とお尻の間の骨、お尻、太ももの裏側が強い筋肉痛のような痛みがきてベッドで過ごす時間が増えてきました。座っていても同じ症状がくるため凄く不安で怖くてたまりません。日によって本当にたまにですが時間帯によって軽減される時もあります。主治医の先生がおっしゃるようにゆっくりゆっくりしか良くならないと言われてますが本当によくなりますか?治したい、良くなりたい一心で無理のない程度のストレッチや家の中を歩いたりしてます。すぐにお尻や太もも裏側左足首から下に痺れと痛みがくるため横になって体を休めたりしてます。こんなにも苦痛な日々を送るなんて想像もしてなかったたけに辛いです。今年12月8日に先生への予約をお願いしています。今、現段階でこのまま様子見でいて大丈夫なのでしょうか?いろいろなアドバイス、ご意見を頂けたら幸いです。よろしくお願いいたします。
回答
お気の毒な結果で残念に思います。術後左足の麻痺と痛みやしびれが発現したことには、当然のことながら原因があります。最も疑われることは、すべり症の矯正に伴って椎間孔内で神経根の絞扼が起こった可能性です。椎間孔内で絞扼状態の神経根の除圧が不十分であると、すべり症の矯正を行うことで神経根がさらに圧迫され、術後にl5神経根症状が悪化します。具体的には、足関節を反らすことができなくなり、坐骨神経痛とすねの外側から足の甲、母趾、足底に痛みやしびれが発現します。主治医に想定内と言われたそうですが、これを避ける配慮・注意が術者として必用であったと私は思います。想定外なら仕方ないともいえますが、想定内という言葉は、もしその通りに言われたのなら、残念な言葉と思います。勿論、想定内の問題であっても、すべてを回避できるとは限らないのが手術ですので、手術を行うには慎重な判断が必用になります。
問題は今後のことですが、術後3ヵ月に近づいていて、麻痺の改善はあるようですが、気になるのは痛み・しびれが続いていることです。骨の固定が完成すると痛みは消失していく可能性はあると思いますが、しびれが取り切れるかは楽観できません。通常の切開法による固定術の場合、創部の痛みが軽減するのに数ヶ月を要する患者さんもおりますので、腰痛は気長に見る必用があると思います。
腰椎固定術の問題は、すべり症の矯正に伴う神経根障害の発生であり、腰椎分離すべり症の患者さんでは、通常は椎間孔内で神経根の問題が起こります。この合併症を手術で避ける方法はあるのですが、回避しきれていない現状があります。手術は成功したと言いながら、誠に残念な合併症と思います。
神経根障害が発生したその他の可能性もありますが、必用があれば次回説明いたします。
私の外来受診を予定されているようですが、症状が改善の方向性を示していますので、もう少し、6月一杯くらいまでは様子をみてください。その間、不安な問題が続くようでしたら、、またご相談ください。対応を考えたいと思います。
それではお大事に。気を落とさず、無理なく動くことも大事です。
from SHUJI SATO