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腰椎手術を予定している、または考えている患者さんへ私からのアドバイス

.12 2015 腰椎変性疾患の手術治療 comment(134) trackback(0)
 腰椎変性疾患の手術治療を予定している、あるいは現在検討している患者さんへアドバイスします。
手術を受ける前、主治医に次のことを確認したらよいと思います。
1)もし、今回の手術で症状が良くならなかった場合、腰椎の他の部位にまだ原因となるものがありますか? 痛みがよくならず長引いた場合、先生は「脳が記憶した痛み」と考えられますか? 
2)手術によって、新たな痛みが残る可能性はありますか?その頻度はどの程度ですか?

 患者さんとしては、手術について医師に色々と確認しておきたいと思われるでしょう。しかし、専門的な診断や治療法の判断は結局、医師にまかせるしかありません。患者としてはそれに同意するしかないのが現実です。医師が手術でよくなると判断して、手術を勧めたのであれば、普通は手術によって症状は良くなるはずです。しかし、そうならない現実が多くあります。その理由は大きく二つあります。
 一つは患者さんの脊髄や神経障害が回復できない段階まで進んでしまった場合です。この場合、いくら良い手術がおこなわれたとしても痛みやしびれは後遺症として残ることになります。 残る一つは、診断や手術に誤りがある場合です。前者の場合には、再手術でよくなることはありません。しかし、後者の場合には、再手術でよくなる可能性があります。医師はその可能性をきちんと追求する義務があります。それを充分に行わずに、「脳が記憶した痛み」と切り捨てる医師は患者さんの良くなる可能性を奪い去ることになります。したがって、良くなるはずと患者さんに手術を勧めた医師は、なぜ良くなると判断したのかの根拠を患者さんに示すべきであり、もし運悪くそうならなかった場合には、なぜ良くならなかったかの理由や判断を示すべきです。それをせずに、一方的に患者さんの脳の問題にするなら、それは責任転嫁といわざるを得ません。

 手術で期待した通りの結果にならなかった場合を想定して、患者さんは医師に次の治療をどう考えているかを確認しておくとよいと思います。腰椎変性疾患では、一度の手術で良くならないことは充分にあり得ますので、手術を受ける側として、それくらいの慎重さが必要です。

 私は手術を行う際には、次の手、場合によってはその次の手を考えておき、それらについて説明しておきます。なぜなら、症状の原因は必ず腰椎にあるとの立場をとるからです。私自身、今まで脳に責任を負わせることはまずありませんでした。これが腰椎変性疾患の手術治療の真実です。悪い結果に諦めないで欲しいと訴えるのは私の経験からのアドバイスです。

 また、手術自体がどの程度の痛みを残す可能性があるかも確認しておいてください。これが術後に患者さんを苦しめることがあるからです。切ってしまってからでは、後にもどせないことを胸に刻んでおいてください。

FROM SHUJI SATO