一人は70代男性で、約2年前に地元でL5/S1の腰椎分離すべり症に対して腰椎固定術(PLIF+ペディクルスクリュー固定)を受けられましたが、術後は両側L5神経根症状の改善がなく、その後歩行障害が進行しました。検査の結果、スクリュウーの緩みはないが、椎体間固定の骨癒合に失敗しており、狭小化した椎間孔内の外側部でL5神経根の除圧が不十分であることがfailed back の原因と診断いたしました。この患者さんでは、固定具はそのまま残して、MD法により両側の外側からL5神経根の再除圧を行いました。手術所見では、予想通り、L5神経根は椎間孔内で強く絞扼されており、周囲との強い癒着を認めました。この患者さんでは、術後の経過は順調であり、L5神経根症は両側ともほぼ解消して、歩行障害の改善も良好です。足の筋力低下も正常化し、知覚障害はみとめません。術後2年余り経過していましたが、幸い、神経根障害が回復性を残していたため良好な結果を生みました。