椎間板ヘルニアによる腰痛は通常、物を持ち上げるような腰に負荷を加える動作時に急激に起こることが特徴です。腰の痛みだけで終わるものは、昔からぎっくり腰と呼ばれてきたことはこのブログで既に説明してきました。このぎっくり腰は1週間くらいで治るのが普通です。しかし、人によってはこれを繰り返します。椎間板ヘルニアが脊柱管内や椎間孔内を通る神経に影響を与えない限り、痛みは腰に限局します。
やがて、ぎっくり腰に続いて、臀部や大腿外側や後部に痛みが起こるようになります。これはヘルニアが進み、脊柱管や椎間孔の神経に圧迫刺激の影響を与えたことを意味します。圧迫の影響がさらに強くなると、痛みは膝下の下腿へと及ぶようになります。
最も多いL4/5のヘルニアでは、通常はL5神経根が圧迫刺激され、痛みは臀部から大腿外側部、下腿外側部や足関節外側部へと広がります。しびれも同様に広がり、最終的には足背から足底部がしびれるようになります。さらに、圧迫が強まると足関節や母趾を反らす力が弱くなり、歩行中にスリッパが脱げたり、つま先が引っかかったりするようになります。
次に多いL5/S1のヘルニアでは、S1神経根が圧迫刺激され、初期には臀部から大腿後部、進むと下腿後部(ふくらはぎ)へと痛みが広がり、アキレス腱あたりに及びます。ふくらはぎの筋肉のけいれんも起こりやすくなります。しびれは臀部から大腿後部、さらにふくらはぎ、足底へと広がります。S1神経根の圧迫が強まるとつま先で蹴る力が弱くなります。
これらL5神経根やS1神経根は坐骨神経を形成する神経ですので、俗に坐骨神経痛といわれる痛みを出すのが特徴です。この坐骨神経痛についても既にブログで説明してあります。
その他の症状として、そけい部(大腿の付け根の内側)に痛みを感じたり、下肢に強い冷感を感じたりすることも少なくありません。
腰ヘルニアの痛みは坐位や中腰で強くなるのが特徴です。くしゃみでも痛みが増強します。多くの人は立つか歩いている方が痛みは楽に感じます。しかし、ヘルニアにより脊柱管内が狭くなった人では立位や歩行でも痛みやしびれが増強するようになります。
その他、L3/4のヘルニアでは大腿外側から下腿前面内側に痛みが起こり、L2/3のヘルニアでは膝あたりに痛みを感じ、L1/2のヘルニアでは大腿前面に痛みを感じます。しびれも同様の部位に存在し、力の入りにくさはL3/4では膝を伸ばす力が弱くなり、L2/3では股関節を曲げる力が弱くなります。
これらは一般的な脊柱管内のヘルニアの場合ですが、外側型ヘルニヤ超外側型ヘルニアでは、一つ上の神経根が圧迫刺激されます。例えば、L5/S1の外側型や超外側型ヘルニアではS1神経根ではなく、L5神経根が圧迫刺激されるのです。
ヘルニアの診断はレントゲン撮影ではできません。MRIがヘルニアの診断で最も正確な診断法なのです。 症状とMRIによってすべての椎間板ヘルニアは診断可能です。
以上のような特徴を持つ腰痛や下肢の痛み・しびれは椎間板ヘルニアによる可能性が大であり、精神的なストレスで起こることはないと言うのが私の見解であり、私の経験から間違いないと確信しています。これらの痛みやしびれが治らず、医師に治してもらえず、原因の診断さえつけてもらえないため、不安やストレスから心を病む人が増えるのです。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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