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腰部脊柱管狭窄症の90歳男性に対する最小侵襲手術が無事終了する

.22 2012 腰部脊柱管狭窄症 comment(1) trackback(0)
私は80歳代の腰椎手術を多く手がけてはいるが、今回、90歳男性の腰部脊柱管狭窄症の手術を行った。50年の腰痛歴あり。3年前から下肢の痛みとしびれで歩行に困難を感じるようになる。肺癌、脳梗塞後遺症などがあり、呼吸機能の低下が見られる。しかし、本人はいたって元気であり、歩ける生活を取り戻したいと腰の手術に意欲旺盛であった。
当然のことながら、麻酔科医師はリスクの高さを心配した。家族も本人の手術を受けたいという強い意志に戸惑いを感じているようであった。最終的に私は、「もう一度、痛みなく歩きたい」という患者の夢を実現することに一肌脱ぐことを決めた。
 手術をするなら、麻酔時間を短くすることが大前提である。症状とMRI所見から、患者の症状の原因部位を絞り込んだ。手術ターゲットはL4/5と決定した。
 手術はL4/5の腰の正中の皮膚に17mmの切開を加え、そこから直径16mmのチューブ状の開創器を挿入し、手術顕微鏡を用いて、右側から高速エアドリルで骨を僅かに削除し、肥厚した黄色靭帯を切除し、両側のL5神経根と馬尾を除圧した。黄色靭帯の切除は極めて安全で効率の良い私独自のやり方で行った。切開から傷に接着テープを貼り付けるまでの時間は35分と超スピードで行った。一分でも早く手術を終わらせたい。しかし、失敗は許されない。手術はいつも以上に急ぐ必要があった。出血量は5mlと予定通り少なかった。
術中の補液量が少ないと心臓への負荷も少なくて済む。心臓負荷の軽減は高齢者の手術では必須事項である。すべてが予定通りに進んだ。
 麻酔の覚醒は良く、直ぐに応答してくれた。術前の下肢の痛みは消えているとはっきりと述べた。手術部位の痛みも感じないとのことであった。
 明日から歩行を開始し、2週間までには退院が必要である。高齢者は長い入院により呆けが進むことが多いからである。これは本人と家族に術前に念を押した。
高齢者の腰椎手術には色々と考慮すべきことがある。これらをクリアできないと、良い結果を生むことはできないのである。


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drshujisato
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了解しました。こちらもそのような予定にしております。
2012.02.29 23:42

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