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脊椎外科医の決断の光と影

.10 2012 腰部脊柱管狭窄症 comment(0) trackback(0)
90歳の腰部脊柱管狭窄症のMD手術成功は北国新聞とMROテレビで紹介された。この方は若い頃から腰痛に悩まされ、歩行にも困難が生じてきた。超高齢者だから仕方ない、当然だとの見方が普通の中で、患者・家族と私は普通でない、見る立場によっては非常識な手術という選択を行ったことになる。

人は社会の規則を守る中では、どう生き、どう死ぬかは個人の自由であり、選ぶ権利を持つことは誰にも異論がなかろう。痛みのない生活を残る人生の中で一日でもいいから味わいたい。自分の足で自由に移動できるというささやかな自由を回復したい。この諦めきれない、打ち消し難い希望を心の奥底に封印したまま、この世を去るしかないと諦めかけていた老人の目に新聞に掲載された私の腰椎MD手術の記事が飛び込んだ。

それが今回の手術に繋がった。私たち医師の職務には色々あり、人々が生きる希望を回復するために時には大きなリスクを冒すことも求められる。今回の手術がHAPPY ENDであったから賞賛されたが、もし、予想される危険性の中で最悪の事態が起こっていたなら、私は己の力を過信した非常識で無謀な医師であると批判され、腰部脊柱管狭窄症に悩む高齢者の手術治療の将来に水をかける結果を招いたであろう。

外科医のぎりぎりの選択・決断には常に光と影がつきまとう。これを常に忘れずに、これからも患者のために困難な手術にチャレンジしていきたい。それが脊椎外科医としての私に与えられた使命と信じるからである。



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