先日、90歳の高齢男性の腰部脊柱管狭窄症の手術成功が新聞、テレビで報じられてから、職員は80代の方々からの電話問い合わせの対応に追われている。70代後半、80代に至り、腰の病とは手が切れないと諦めていた方々には相当の衝撃を与えたようだ。
高齢者の腰の病は付き合って生きるしかないと悲観的な空気が強い。先ず、医師が消極的である。脊椎外科医も高齢者手術を敬遠する。痛みや生活の不自由に泣く老母や老父にどうしてやることもできない家族の悩みは深まる一方である。
明日は88歳の女性患者の腰椎変性すべり症に合併した脊柱管狭窄症の手術がある。手術説明に立ち合った家族は、せめて痛みを取ってあげたいと切実に語る。このような高齢者の手術を行う時には麻酔科医の存在は大きい。熟練した麻酔科医なくしては行えない手術である。私は約2500件の腰椎最小侵襲手術を経験してきたが、周術期の死亡例は経験していない。これは周術期を管理する医療スタッフの総合力の賜である。
明日は、腰椎3番と4番(L3/4)と4番と5番(L4/5)の2椎間の神経除圧をそれぞれ17mmの皮膚切開で行う。予定している手術時間は1時間30分。出血量は20ml以下。翌日から歩いてもらい、術後2週間までには退院して家庭生活に戻ってもらう。長い入院生活は高齢者に呆けをもたらす恐れがあるからである。
患者と家族と医療スタッフが一体とならなければなしえない手術が高齢者手術である。
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