腰椎すべり症に対する手術法の説明の中で、大きな切開と輸血、術後の激痛、神経障
害発生や感染合併の危険などを知らされ、尻込みしてしまう患者が多い。
従来行われてきた固定術は身体への負担が実に大きい。手術で歩けるようになっても、ひどい腰痛が残り、それに悩まされる患者は少なくなかった。すなわち、手術は成功しても、喜びきれない結果に終わる可能性が低くはないのが従来の固定法であった。
私が改良を重ねてきた最小侵襲の固定術は、腰部の正中から両側に3~4cmの切開で椎体間固定とペディクル・スクリュー固定を行うものである。椎体間固定は経椎間孔経由で行うもので、mini-TLIFと呼ばれている。私の現在の手術法は、直径18mm、20mm、22mmのチューブレトレクターと手術顕微鏡、0-armとこれにリンクされたナビゲーションシステムを用いる最新ハイブリッド型である。ナビゲーション用のアンテナを立てるための小切開を腰部の正中に加える。この切開は脊柱管狭窄を伴う症例では神経除圧操作にも利用する。
変性すべり症、分離すべり症、椎間孔狭窄を伴う側彎変形症などにこのmini-TLIFを行っている。通常、手術時間は3時間前後、出血量は100ml以下である。術後翌日に歩行可能である。術後疼痛は少ないため、通常の固定術で用いられる麻薬は不要である。約6割の患者は術後鎮痛剤不要と従来の固定術では想像できないことである。入院期間は2~4週間と短い。身体の条件が良ければ、年齢は80代半ばまで適応と考えている。
私の固定法では、切開が小さく、一つの術野を長く外気にさらさないため、術後感染は約150例中ゼロである。0-armとナビゲーションシステムの使用により、ペディクル・スクリューの挿入は安全かつ正確であり、これによる神経合併症はない。
腰椎固定術は新時代を迎え、患者の満足度は従来法の時代と比べて格段に高くなり、手術の適応範囲は更に広がるであろう。
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