腰椎ヘルニアも狭窄症もすべり症も腰椎の骨の中を通る神経を圧迫して腰痛や下肢痛、しびれ、歩行障害などを出す。神経の快復力がよければ、術後、下肢に痛みやしびれを残さずに治る。しかし、神経の障害が進んだ患者では、手術で神経の圧迫が除去され、症状が改善しても痛み・しびれが後遺症として下肢に残ることになる。従来は、保存療法が効果を失い、神経障害が進んでから手術を受ける患者が多かったため、術後症状の回復の不良な患者が多かった。むろん、診断・手術が適切であるという前提での話であるが。
私は、神経の除圧と骨の固定をいかに組み合わせるかが、ヘルニアや狭窄症、すべり症の手術で重要であることを強調してきた。ヘルニアや狭窄症では、原則、神経除圧のみ。すべり症では除圧と固定。これらが基本である。側彎変形など複雑な腰椎になった患者でも基本は同じである。この基本手技をできるだけ最小の侵襲で行うようにした手術が最小侵襲手術である。今、殆どの腰椎手術を私は最小侵襲で行っている。
繰り返し強調するが、術前に神経障害の軽い患者では術後に後遺症は残らない。一方、神経障害の進行した患者では、歩行障害は改善し、下肢の痛みやしびれも軽減するが、後遺症として残存することが少なくない。
私の経験が示すことは、保存治療で症状の改善が遅れるなら、神経機能障害が進む恐れが高いため、手術治療の適応を脊椎外科医に相談することである。手術治療を多数手がけている脊椎外科医は保存治療の限界を知り、手術タイミングの重要性を熟知しているはずであるからだ。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。応援クリックお願いいたします。 ↓ ↓

- 関連記事
-
trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/118-68585b06