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医師によって腰椎疾患の治療方針が大きく異なる理由とは

.22 2012 腰椎変性疾患の治療 comment(0) trackback(0)
私に対する一般の方の質問の中で多いのが医師の診断や治療方針が異なるので、どう判断したら良いのかわからないというものです。
 腰椎疾患とは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などです。これらの疾患に対する治療方針は保存的治療を専門に行う医師と手術治療を行う医師では大きく異なります。保存的治療を行う医師は出来るだけ手術を行わない方針をとるのが普通です。一方、手術治療を行う医師には大きく分けて二通りあります。一つは患者が我慢できる限界まで出来るだけ待ってから手術を勧める医師と私のように患者の苦痛と生活の支障度を考慮し、後に神経機能障害を残さない段階で手術を決める医師がいます。私の場合は、保存治療が効果を示さないと判断された早い時点で手術を決定します。
 このように医師による治療方針の違いが生じる大きな理由は次のように思います。
1) 手術をできるだけ行わない医師は多くの患者が保存治療で改善することを経験していることと手術治療は危険が大きく、手術の有効性は不確実であると受け止めているようです。
2) 手術は行うが症状が進んでからと考える医師は、1)と同様に保存治療の効果に期待を持つことと、手術治療は最後の手段と考えています。
3) 私は患者の症状がもたらす苦痛の程度と生活の支障の程度とその期間を重視します。さらに神経機能障害の有無やその程度も重視します。私は手術治療の高い安全性とその有効性を実証してきました。それ故に、手術の時期に対するこだわりが強いのです。神経障害が進むと回復が不良になり、神経後遺症が残るからです。
見方を変えて、1)~3)の医師の治療方針で起こりえる問題は次のようです。 
1) 保存治療に医師自身や患者が見切りをつける時には、神経障害が進んでしまい、その後手術を行っても、神経障害が残る可能性が高くなることです。また、保存治療で一旦症状が改善しても、腰椎疾患は加齢と共に進行する傾向が強いので、症状の再発が起こり、次第に保存治療は有効性を失うという治療上の限界があります。
2) この場合も同様に手術を受けても患者が満足できるところまで回復しないことが起こりえます。長い期間、保存治療を受け、その挙げ句に手術では、患者に不信感が起こることがあります。さらに、今まで受けた治療は何であったのかと嘆く患者の声を多く私は聞いてきました。
3) 患者が後々も苦しむのは神経後遺症であることを知って、手術タイミングを重視しますので、手術結果に対する患者満足度は高くなります。しかし、手術の危険はゼロにはなりませんから、手術によって却って症状が悪くなったということが起こり得ると心得なければなりません。しかし、これも外科医の経験と技術の差が大きく関係します。腕に確たる自信を持たない医師はこのような方針はとることはでないでしょう。

以上、医師が腰椎疾患の治療に対して異なる方針をとる主な理由を挙げましたが、勿論、例外もありましょう。しかし、医師の治療方針が大きく異なる根本的な違いは腰椎疾患に対する診断力の差と手術技術の差にあると私は考えています。



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