腰痛は誰もが経験することのある最もありふれた症状です。
普段、慣れない肉体労働や運動をやった後、普通は翌日に出現する筋肉や靱帯性の鈍痛もあれば、前に屈んで、物を持ち上げようとした時に急にズキッと腰が痛み、その後しばらく持続する椎間板性の鋭い痛みもあります。腰痛と一口に言っても、それぞれに特徴的な痛みの性質と出現の仕方があります。
筋肉や靭帯性の腰痛は通常は数日から1週間くらいの内に収まっていきます。しかし、椎間板性の腰痛は持続する傾向を示し、朝方痛みが特に強かったり、坐位や中腰を取ると痛みが増強したりと言った特徴があります。くしゃみや運動によっても増強します。
扱いに注意を要するのが椎間板性の腰痛であり、これには幾つかの段階があります。
第1段階:変性して脆くなった椎間板組織がこれを支えている靱帯を一部破った時の痛みです。俗にぎっくり腰と言われるものです。靱帯の破れる程度で腰痛の程度や持続する期間が異なります。安静にしていると、通常は自然に消失します。
第2段階:二度、三度、ぎっくり腰を繰り返すと、その都度、靱帯の破綻が進み、椎間板組織の突出程度が増します。靱帯には痛みを感じる神経が分布しているので、椎間板によって押し伸ばされる度合いが強くなる程、痛みが強くなります。椎間板が靱帯を破り、靱帯を引き延ばし、突出度が増すにつれて腰痛はとれにくくなり、慢性化する場合もあります。
第3段階:このように椎間板が靱帯を押し伸ばしている時には腰痛のみですが、靱帯の破綻が進み、椎間板組織が靱帯を裂いて靱帯の中に脱出し、靱帯が強く膨隆する場合や靱帯を貫通してしまう場合があります。この時に椎間板組織が脊柱管内に存在する神経根や馬尾神経を圧迫すると腰痛のみではなく、今度は、臀部や大腿、下腿などに痛みやしびれを感じるようになります。これが本格的な腰椎椎間板ヘルニアの始まりです。ヘルニアが神経に与える影響の度合いによって症状が異なります。激痛でトイレまで移動さえできない人もいます。
以上、ぎっくり腰で始まり、治った後再発があり、再発を繰り返している内に臀部や下肢への痛みやしびれが発現してくるというのが腰椎椎間板ヘルニアの一般的な進行の仕方です。
治療は腰椎椎間板ヘルニアの進行度や状態に基づいて行うことが必要になります。未だ、痛みのつらい患者に腹筋や背筋を鍛えなければだめだ。運動しなさいという誤った指導が行われていることに驚くことがある。
明日は椎間板ヘルニアの進行段階に応じた治療について紹介しましょう。
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