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韓国で頚椎の人工椎間板置換術を受けた患者のビデオみて思うこと

.26 2012 頚椎人工椎間板置換術 comment(3) trackback(1)
You tubeで頚椎症か椎間板ヘルニアの日本人男性が韓国に渡り、頚椎の人工椎間板置換術を受け、術前の激痛が消失し、喜びながら会見しているビデオを見て、私は複雑な気持ちになった。
 その理由は、患者の痛みは人工椎間板置換術でよくなったわけではなく、椎間板や骨棘などによる神経根の圧迫が除去されたために好くなったのである。ビデオの男性を悩ませていた椎間板や骨棘などによる根性痛は、現在、国内で行われているチタンやセラミック、自家骨などを用いた前方固定術でも問題なく治るのである。

人工椎間板置換術と前方固定術の根本的な違いは、術後に手術椎間の可動性が維持されるか否かにある。前方固定術では、椎間板を摘出した上下の骨を癒合させる。すなわち、二つの骨を癒合させて一つの骨にする。その結果、頚椎の動きの負荷が固定されていない隣の椎間に増大することになり、後日、隣接椎間に椎間板ヘルニアや狭窄症が発症し、二度目の手術が必要になることが少なくない。これは固定術に内在する宿命的な問題、欠点とされている。
 これに対して、人工椎間板置換術は椎間板を摘出した上下の骨を癒合させることなく、可動性を温存させるため、固定術の欠点としてある隣接椎間の問題を回避できると期待されている。
 しかし、人工椎間板が5年以上の長期にわたり、可動性を維持できるかは未だ不明である。本当に隣接椎間に起こる問題が固定術よりも少ないのかも検証が不十分である。

 私見を述べるなら、人工椎間板は将来的には改良を重ねられ、より理想的なものに近づいていくと期待されるが、現状では信頼に値する十分なデーターは集積されていないと思われる。従って、私は人工椎間板置換術には慎重な立場を取っている。

 You tubeの男性が会見で述べたように、保存治療にも関わらず効果なく、患者が痛みに苦しんでいるのに、国内の医師が手術はまだ早いと言ったことが私には残念である。私なら、迷うことなく手術に踏み切っていたであろう。

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2014.02.19 13:10
drshujisato
医療において日本国民は古来、受動的姿勢をとってきました。それはある種、医師に対する盲目的信頼感が根付いていたからでしょう。今日、随分揺らいでいますがね。従って、医師の治療に疑問を向けたり注文をつけるなど日本国民には考えられないことであったと思います。これだけ医療技術が進み、手術法も進化しているにも関わらず、腰椎では大侵襲手術が深く根付いており、その支持者が圧倒的勢力を保っています。それに比べ、最小侵襲手術を行える脊椎外科医はminorityなのです。しかし、国内でも最小侵襲手術を受けられますので、そう悲観しないでください。それに、人口椎間板は商業主義に押されている面が否めません。頚椎でも腰椎でもまだまだ検証不十分です。私は繰り返しますが、慎重であるべきと考えています。
2012.05.28 23:35
naomi
お忙しい中お返事ありがとうございます。
欧米や韓国よりドイツのADRの方が進んでいると聞いていますが、
みなさんなぜ腰椎の日本固定術を疑問なく受けられるのでしょうか。。。私は写真をみただけで日本とドイツの腰椎固定の違いに驚かされました。素人の私が思うのに担当の脊椎外科医の先生はプライドがありとりあいません。悲しい現実に感じました。
お金さえあれば腰椎も海外の固定の方が予後が良いのか、腰も5年以上のデータがないのかきになります。あと、日本がなぜ世界から比べて遅れているのでしょうか?後進国でも行われているのにです。
よろしくお願いいたします。
2012.05.26 12:54

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You tubeで頚椎症か椎間板ヘルニアの日本人男性が韓国に渡り、頚椎の人工椎間板置換術を受け、術前の激痛が消失し、喜びながら会見しているビデオを見て、私は複雑な気持ちになった。
2012.05.26 06:37 まとめwoネタ速neo