60歳後半の腰椎すべり症の女性の固定手術が予定通りに終了した。この女性は長く腰痛と下肢痛に悩まされ、座っていても痛みが増し、歩行にも支障をきたしてきたため、脊椎外科専門医の診断を受けた。入院して脊髄造影などの検査の結果、まだ所見は軽いので手術するほどではないと説明された。医師はまだ軽いと言うが、患者は軽いどころか、生活に困窮する状態になっていた。別の医師の紹介で、私を受診した。
私は腰椎レントゲン撮影とMRIのみで診断する。この患者はL4/5の変性すべり症で、脊柱管の外側型狭窄を伴っていた。すべりの程度はせいぜい5mm位でMRIでは一見したところでは脊柱管は広く、問題ないかに思われるが、実はそうではなかった。狭くなった脊柱管の外側でL5神経根が前方からは突出した椎間板と後方からは脊柱管に入り込んだ椎間関節によって板挟み状態になっていたのだ。椎間板の関与で坐位を長く保てず、脊柱管狭窄の状態のため立位や歩行が困難になっていたのである。
このような画像所見は一見したところでは、大きな問題がないように思われがちだが、L5神経根が椎間板と椎間関節によって板挟みにあい、そこにすべり症による腰椎間の不安定な動きが加わるため、L5神経根の圧迫・刺激が常に起こり、患者の症状は画像所見に見合わないほど強くなるのだ。
この患者に私は最小侵襲によるL5神経根の除圧とmini-open TLIFと呼ばれる椎体間固定とペディクル・スクリュー固定を行った。肥満体であったが、腰の真ん中に17mm、左右に40mmの皮膚切開である。手術所要時間は3時間20分、出血量は120mlであった。肥満体のため、時間と出血量がいつもより上回った。術後、下肢の痛みは消失していた。
この患者のように、医師はまだ軽いと言うが、患者自身はつらい状態に追い込まれている場合が多い。私の所へはそのような患者が救いを求めて増えている。
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