40代男性がある病院で腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた。術後、腰痛は軽減したが、下肢のしびれが発現し、1週間後に2度目の手術を受けた。しかし、しびれは改善しなかった。生活上、腰に負荷がかかると腰痛と左下肢のしびれが強くなり、生活に支障があると私を受診した。
症状からは左の腰椎5番目の神経根(L5神経根)領域にしびれを認める。筋力低下なし。
腰椎レントゲン撮影では、分離症やすべり症はなし。
腰椎MRIでは、左L5/S1でヘルニア摘出術が行われている。さらに、左L5/S1の椎間孔内に狭窄を認め、そこで左L5神経根が圧迫されていた。
診断は左L5/S1の腰椎症性椎間孔狭窄症による左L5神経根症である。
この患者では、正中から左側45mmに18mmの小切開を加え、直径18mm、長さ60mmのチューブ・レトレクターを挿入設置し、手術顕微鏡下に狭窄した椎間孔を拡大し、圧迫されていたL5神経根を除圧した。手術時間は50分、出血量は10mlであり、術後すぐに患者は症状の改善を自覚した。
この患者では、L5/S1で手術がなされている。レベルは良いのだが、行われた手術は脊柱管内で、左S1神経根の除圧が行われている。しかし、症状は左L5神経根症であり、その本当の原因はL5/S1の椎間孔狭窄にあったのである。つまり、手術部位の違いによって、手術効果が得られなかったのである。ここに腰椎手術の難しさがある。
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