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外来患者がどんな症状と経過で脊椎専門外来を受診されているか、紹介しましょう。

.08 2012 腰椎椎間孔狭窄 comment(0) trackback(0)
1)70代女性。
  20年前から腰痛と両下腿に痛みを繰り返した。10年前から100mくらい歩くと両足がしびれて歩けなくなる。座っていても臀部から大腿後面に痛みがでる。通院中の病院では、まだ、手術するほどでないといわれている。次第に悪化するので心配になり受診する。
腰椎レントゲン撮影: L4/5の変性すべり症と不安定性あり
腰椎MRI:L4/5に高度の脊柱管狭窄あり

  診断と治療:すべり症がもとで、脊柱管狭窄が進み、その中を通る神経の圧迫が進んできて、現在の下肢の症状発現に至っている。症状は進行性であり、手術で狭窄状態を除去し、腰椎固定術が必要である。すべり症であり、腰椎固定が必要であることを考えると、骨粗鬆症のまだ進んでいないもっと早い段階で固定術がおこなわれべきであったと考える。
私は60代前半までに固定術を行うことが望ましいと考えている。

2)60代女性。
 35歳頃から年2回くらいぎっくり腰を起こしていた。10年前から腰痛が徐々に増悪して、5年くらい前から左下肢の痛みとしびれが発現し、歩行困難になった。中腰ができない、朝起床時になかなか腰を伸ばせないなどの症状もあり。右下肢には自覚症状なし。
神経学的には、左足関節の背屈力の低下あり。左L5領域に知覚障害あり
腰椎XP:中等度の側彎変形あり
腰椎MRI: L5/S1の左椎間孔内・外に腰椎症性狭窄あり

  診断と治療:一般的には診断の困難な椎間孔内外狭窄の症例であり、今まで、いくつかの医療機関を受診したが、原因と治療法についてはっきりした回答を得られていない。椎間孔周辺の病変ではこのように長い間、無効な保存治療が続けられ、その間に腰椎の側彎変形が進む方が多い。この患者では、MD法による外側アプローチで外側から椎間孔拡大術と椎間孔外で仙骨翼の部分削除によるL5神経根・節の除圧を予定した。

今回紹介した二人の患者では、保存治療では症状の改善を図り、生活の質を回復することはできない。手術以外には治すことはできないと断言できる。


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