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見立て・技術の悪い外科医が外科手術の信頼を失墜させる

.16 2012 腰椎椎間板ヘルニア comment(3) trackback(0)
70代の男性が私の脊椎専門外来を受診された。訴えは、以前に腰ヘルニアで手術を受けたが、術後、右足が麻痺して下垂足になった。下垂足とは、足関節を反らす力が失われ、足先が下がってしまい、持ち上げられない状態を言う。しかし、痛みが取れたので結果を受け入れ、短下肢装具を使って歩行はできていた。

ところが、その後、今度は左下肢に強い痛みが起こり、同じ医師の診察を受けた。その医師は外側型ヘルニアによる神経障害なので手術が必要と説明した。患者は、今度の手術は先の手術よりも難しいのかと質問した。その答えは難しい手術ではないというものであったという。そして、再度手術を受けた。しかし、術前の痛みは改善せず、退院後は歩行中に左膝の力が抜けて転倒することも起こるようになった。それで、私への受診となった。

その患者の右下腿の筋肉は萎縮し、やせ細っていた。問題の左下肢は腰椎4番の神経根の障害による感覚障害と筋力低下を認めた。MRIでは、L4/5の左側に超外側型ヘルニアを認めた。先の医師が診断した外側型ヘルニアよりも更に外方へ椎間板は脱出していた。このヘルニアが手術で取り切れず、患者の症状は改善しなかったのである。
 
この超外側型ヘルニアの摘出術は特殊な手術であり、結果を出すには技術的に熟練している必要がある。残念ながら、その患者が手術を受けた外科医は1回目の手術といい、2回目の手術といい、結果を出せずに患者の期待を裏切る結果に終わった。
 
腰椎の手術は誰がやっても同じ結果を出せるものではなく、外科医の診断力と技術力の差が大きいことを示す良い事例といえよう。私は再手術を引き受けた。治してやらねば。


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お返事ありがとうございました。また返事遅れてすいません。
3~5番固定の理由としては、手術部より上部への負荷の増大見込みと聞いています。
もしかすると1、2番辺りもグラグラになる可能性はあると…

ただ年齢を考えると、1~5を一回で固定するのはやるべきでないと…
幸い学籍がまだあるので手術等にかかる費用は還付して貰えるので、術後経過が思わしく無かった場合の再手術も仕方ないかとは考えています。
手術は回数を重ねる毎にやりにくいものになるだろうという事は理解しています。ただ、今現在も首肩に負担がかかっている状況なので、私自身も最低限固定して様子を見たいと考えています。
梅雨入りしてから毎日天気が変動してあまり動けません。普段から腰と肩甲骨付近にカイロを貼って何とか動いていますが、ついにカイロを毎日3枚貼る生活になってしまいました…

セカンドオピニオンの制度は承知してますが、せっかくの申し出ながらやはり使いにくいのです(汗)
自分の身体を最優先に考えたら使うべきなんでしょうが…

結局いつも病院変える度に画像撮り直しをしています…

画像はCD-ROMに焼き付けて希望者には配布だと便利なんですけどね
2012.06.19 20:21
drshujisato
術後、しびれが取れ、歩行障害が改善したのなら、除圧は良いのだと思います。しかし、痛みが取れないとのことですが、疑われる事としては、腰椎の分離、辷り、不安定性の問題です。癒着は術後には必ず起こるので、癒着だけで問題になることはありません。やはり、不安定性があるのではと思いますが、なぜ、3~5番の固定術なのかが分かりません。レントゲン撮影とMRIを見れば分かると思いますので、送っていただければ検討してあげますよ。
2012.06.16 23:19
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はじめまして。つい先日このブログに辿り着いていつも拝見しております。
検査画像が無い状態では判断出来る事もなかなか無いでしょうが、何か思うところありましたらアドバイス頂きたいです。

現在32歳ですが、28歳の時に左足に痺れが出て腰部脊柱管狭窄症と診断され手術を受けました。痺れは改善し歩けるようになりましたが、痛みが全く改善しませんでした。
歩く分には1時間くらい平気なのですが、コルセット無しで5分くらい立ち止まる事は出来ません。
その後いろいろな病院を転々としました。ブロック注射は3時間くらい腰が温かい程度で何度打っても効果ありませんでした。ロキソニンやエトドラクはおまじない程度ですが、服用すると目がショボついて眠気が来ます。ボルタレンの座薬は半分くらい痛みが減る感じでしょうか…。整体で姿勢を直すと逆に不自然な歩き方になった気がして普段より腰が痛くなります。また翌日には前日と同じS字に完全に戻っています。

仙骨に癒着があって、脊椎の未分離があると指摘した先生も居らっしゃいました。

今年に入ってふくらはぎに刃物で刺されたような痛みを感じ、足がまた痺れて来ました。腰や太もも、ふくらはぎなどを揉んで貰うと足裏に電気が走ります。
大学病院の脊椎専門医の方に診断して頂いたところ、最初のレントゲン画像の時点で腰椎不安定症の疑いありと言われました。MRI診断の結果はそれほど異常なく狭窄症手術もしっかり行われているとの事です(どこの病院に行っても手術は正常と言われました)
CT診断の結果やはり腰椎不安定症であるという事で、来月手術の予定になっています。3~5番を固定し、その後の経過を見ながらまた治療していく方針という事です。固定部より上の負荷が増える可能性、神経の癒着の場合痛みがあまり取れない可能性については説明受けてます。
お忙しいでしょうが、よろしくお願いします
2012.06.16 17:04

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