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どのような腰椎椎間板ヘルニアが医師の誤診や症状の過小評価を招くか

.01 2012 腰椎椎間板ヘルニア comment(0) trackback(0)
先ず、始めに断っておきたいことは、腰椎椎間板ヘルニアには診断が極めて困難なタイプがあり、相当に経験を積んだ脊椎専門医でなければ的確に診断できないものがあることです。このようなヘルニアの診断が正確にできなかったからと言って、必ずしもその医師を責められないと私は思います。もし、医師に責任があるとすれば、その後の治療経過において、症状の改善の進まない患者に漫然とした治療を続け、神経機能障害を進めてしまった場合です。脳や脊髄、馬尾、神経根などの神経組織は一旦、障害が進むと回復できなくなるからです。それらが回復できる時期・段階で手術治療を決断しなければなりません。
 それでは、どのようなタイプのヘルニアが医師の誤診や患者の症状の過小評価を招くのかを説明しましょう。
1) 脊柱管外側部の小さなヘルニアで、神経根の直下を尾側の椎間孔へと向かうタイプ。
2) 同じく、脊柱管外側部で頭側の椎間孔へ向かうタイプで、外側型と呼ばれる。
3) 椎間孔外に存在するタイプで、超外側型と呼ばれる。
4) 脊柱管狭窄や椎間孔狭窄がベースにあり、通常では強い根症状を出さない程度のヘルニア
5) 腰椎の不安定症やすべり症を伴い、ヘルニアによる神経根圧迫の外、腰椎間の異常な動きが神経根に影響を与えるもの。
大まかに挙げると、以上のタイプのヘルニアがくせ者と言えます。ヘルニアを見逃したり、過小評価したりする理由をそれぞれ次に挙げます。
1) はヘルニア自体が小さいため、神経根に与える影響を過小評価する。
2) と3)はMRIの撮影法によっては、ヘルニアが描出されないために診断できない。
さらに、これらのヘルニアの診断には熟練した目が必要であり、画像にヘルニアが写っているにも関わらず、それを見逃してしまう。
4) は1)と同様の理由で、ヘルニアが小さいために神経根に与える影響を1)よりも
更に過小評価してしまう。
5) は腰椎間の過剰な動きのために、ヘルニアによる神経根の圧迫・刺激が普通のヘルニアの場合よりも強くなる。
 
このように、腰椎椎間板ヘルニアの診断は腰椎の色々な条件下でのヘルニアの病態を知り尽くさない限り、誤診や過小評価を防ぐことは困難と言えます。従って、ヘルニアの発症後、1~3ヵ月の間に順調に症状の改善が進まない患者は再検討が必要です。幸い、ヘルニアの多くは自然治癒することから、症状経過を定期的にチェックすることが何よりも大事です。

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