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原因不明と言われ続けてきた坐骨神経痛の患者の手術から分かったこと

.12 2012 腰椎椎間孔狭窄 comment(2) trackback(0)
70歳代の女性が、左坐骨神経痛を訴え受診された。2年来の症状で、その間、二、三の病院を受診したが、原因は不明のまま経過していた。接骨院などにも通ったが、一向に症状は改善せず、次第に悪化の傾向を示していた。

 症状からは、明らかに左L5神経根の症状である。下肢を伸展した仰臥位で寝ることや左下の側臥位で寝ることは痛みが増強してできなくなる。右下の側臥位で寝ることが多い。長く座っていても痛みが増す。歩くことにはそう問題はないが、同様の痛み・しびれが発現する傾向があった。

MRIでは、脊柱管内には病的所見は殆どなく、L5/Sの左椎間孔内に狭窄性病変が疑われた。症状からは左L5神経根障害による根性坐骨神経痛であり、その原因としては、L5/S1の椎間孔狭窄病変以外には考えられないことから、その手術に踏み切った。

切開17mmのチューブ状開創器と手術顕微鏡を用いて、椎間孔の拡大術を行った。手術所見はMRIから予想された以上の神経根の圧迫が見られた。神経周囲にはかって椎間板ヘルニアを起こし、それが吸収消失した後に残った線維性組織によると思われる強い癒着が存在していた。椎間孔を拡大し、神経の圧迫を除去した。手術時間は1時間15分、出血量は5mlであった。

 麻酔が覚めると、左下肢の痛みは著しく軽減されており、術前に保つことのできなかった仰臥位をとっていることが出来るようになった。しびれは足にまだ残っている。

 この患者が私に残した教訓は、MRI画像などの検査は診断において絶対的なものではなく、手術をして始めてわかることがあるということです。そのためにも、神経症状の詳細な吟味と神経根の障害が起き得る部位を知って、原因部位を突きとめることが必要になります。、


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drshujisato
HUさんへ

 症状の再発でしょうかね。上肢に症状の再発がなく、下肢のみでしたら腰椎に原因があると思います。記載されたMRI画像所見は原因を診断するには役に立ちませんね。現在の症状が何番目の神経根の症状であるのか、それが解ればMRIで原因を突き止めることができます。ただ、画像診断を行っても、症状と結びつかなければ、治療上、何の役にもたちません。原因診断の出来る医師を受診することが必要ですが、他で手術を受けた患者さんを積極的に受け入れる医師は少ないので、慎重に医療機関・医師を選んで下さい。
私を受診していただくのが一番良いと思います。なぜなら、前回の術前・術中、術後の情報がこちらにはあるからです。ご検討ください。

佐藤秀次
2013.10.09 00:02
H.U
私は61歳、男性です。2011年3月末に先生に頸椎&腰椎脊柱管狭窄症を手術していただいております。しかし、右足大腿後部に痛み(座骨神経痛)が悪化しおります。
症状は立っているとじわじわと痛みが強く成ってきます。それは歩いてる時も同じです。また、寝ている時、椅子に座って同じ姿勢2時間位でも同様に痛くなります。そうすると背中、肩、首、顎にコリがひどくなり、動かすとゴリゴリ音がします。そして、脂汗が出てきます。その状態が30分から2時間位続きます。いろいろ姿勢を変えても痛みは変りません、痛いから我慢でず、動くと痛みが強くなります。
先生の所は遠方なのでそう簡単には行けないので、近くの病院で診察してを受けても原因不明と言われます。
つい最近のMRIの読影医所見は次の様な診断です。
 S1の腰椎化を認めます。
 核椎間に軽度の椎間板膨隆を認めます。
 T1強調冠状断像にて、両側L4神経根は椎間板に若千圧排されているように 見えます。
 L4、L6椎体の上前部に信号変化を認めます。
 L6椎体右側のT1、T2WIでの高信号は血管腫などが疑われます。

今はペインクリニックを受診するよう指示されそこで処方された、サインパルタの代替薬パキシル37.5mgで痛みの強さが少し和らいでいる状態です。
その他は変りません。
根本的原因を見つける事は出来ないのでしょうか? 
2013.10.08 21:17

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