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高齢者の自立を目指す最新の腰椎手術(北国新聞掲載)

.26 2011 脊椎疾患 comment(0) trackback(2)
 高齢化と核家族化が進み、高齢夫婦の二人暮らしや高齢者の独居生活が珍しくない現代、高齢者が恐れるのは生活の自立性が損なわれ、家族に負担をかけて生き長らえることであろう。私の脊椎専門外来には、腰椎の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などに悩む高齢者の受診が増えている。受診理由は、腰痛や下肢の痛み、しびれのため買い物や台所仕事が困難になったり、近場への移動にさえ何度も休まなければならないなど、日々の生活に支障が大きいこと。また、つらい腰痛や坐骨神経痛に心身が病み、うつ状態になり、家に引きこもった生活も少なくない。私の脊椎外科医としての使命は腰椎疾患に悩む高齢者に生きる希望と喜びを取り戻していただくことである。平成14年以来、2000例以上の手術顕微鏡を用いた腰椎最小侵襲手術に取り組んできたが、MD法と呼ばれるその手術は、20mm以下の切開、10ml前後の出血量、30~60分の手術時間で椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を根治できる。手術翌日から歩行でき、約8割が鎮痛剤は不要である。退院も平均2週間と短く、手術成績は90%以上で良好である。このように身体に負担の少ない手術法であるからこそ、70代、80代の高齢者の手術が可能になった。さらに、腰椎の変形やすべりの進んだ患者では、骨の固定術が必要になるが、手術は難しく、合併症も少なくない。本院では0-arm(移動性のX線画像装置で、三次元画像が得られる)と最新の手術ナビゲーションシステムを導入した。これによって手術の精度と安全性は飛躍的に向上し、従来困難とされてきた脊椎手術も可能になると期待される。




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