平成14年11月から平成21年12月までの7年1ヵ月間にMD法により、私が手術した818例の腰椎椎間板ヘルニアの内、再発手術例は23例(再発手術率:2.8%)であった。さらに、他の医師が初回手術を行い、私が再発例の手術を行ったのは28例であり、再発椎間板ヘルニアのMD手術は合計51例であった。その手術成績を紹介しましょう。
これは平成22年6月に名古屋国際会議場で開催された第25回日本脊髄外科学科で報告したものです。
患者の年齢:24-77歳(平均47歳)、男37例、女 14例
再発部位: L5/S1;27例、L4/5;23例、L2/3;1例
後外側型;47例、外側型;3例、超外側型;1例
私が初回手術を行った23例における初回手術から再発手術までの期間:
1ヵ月以内: 1例
1-3ヵ月: 2例
3-6ヵ月: 3例
6-12ヵ月: 5例
12ヵ月以上: 12例
初回手術後6ヵ月以内の再発:26%
初回手術後1年以内の再発:48%
初回手術後1年以後: 26%
ヘルニアの処理法
ヘルニア摘出+椎間板摘出:39例
ヘルニア摘出のみ: 5例
神経根除圧のみ 5例
腰椎不安定性を伴う再発では、ヘルニア摘出+腰椎固定術:2例
手術成績
Excellent 12例
Good 35例
Excellent+Good:92%
Fair 4例
Unchanged 0例
Worse 0例
合併症
軽い髄液の漏れ 2例(フィブリン糊で処理できた)
感染症 0例
神経損傷 0例
手術時間:35分-90分(平均:54分)
出血量:30ml以下(平均7ml)
私自身の腰椎椎間板ヘルニアの再発手術率は2.8%であった。
再発例も初回例同様にMD法によりヘルニア摘出あるいは神経根除圧によって症状の改善を図ることができた。
腰椎不安定性があり、ヘルニアの再発した患者では、腰椎固定術を行った。
再発した腰椎椎間板ヘルニアの手術は安全性には問題は見られなかった。
結論としまして、再発椎間板ヘルニアの手術は初回手術よりも技術的に困難を伴いますが、熟練した脊椎外科医が行うなら、初回手術と遜色ない手術結果を出すことが可能です。再発椎間板ヘルニアの手術リスクを強調し、効果のない保存療法を漫然と続けたり、固定手術に依存することは回避されるべきです。脊椎外科医は再発椎間板ヘルニアの摘出術の技術を習得することが今後、強く求められていきましょう。
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