経過:およそ10ヵ月前から、左の臀部痛が始まり、次第に増強する。ある病院を受診し、
検査を受けたが、症状を説明できるほどの問題はないとのことで、仙骨ブロックや局所トリガー注射を試みたが、効果なく、内服薬の効果も見られず、左S1神経根症が疑われたので神経根ブロックが考慮された。
しかし、患者は担当医に紹介状を書いてもらい私を受診した。
問診:両側の腰痛と左臀部から大腿・下腿外側に沿う強い痛みととしびれあり、立位や歩行で増強する。坐位では軽減する。間欠性跛行もあり。
神経学的所見:左足関節の背屈力低下あり。左下腿筋に萎縮あり。左L5神経根領域に知覚障害あり。
腰椎MRI:脊柱管内には特筆すべき病的所見はないが、腰椎5と仙椎1(L5/S1)の腰椎症性椎間孔狭窄を認めた。狭窄は症状の強い左で高度であった。
手術:MD法によりL5/S1の両側で椎間孔の拡大術を行った。手術所見では、椎間孔に入り込んだ関節の骨でL5神経根は強く絞扼されていた。手術所見も左でより強かった。
手術時間:1時間40分、出血量:10ml
術後経過:麻酔が覚めると、患者の下肢の痛みは良く軽減していた。術前には下肢を伸ばして仰向けてで寝ていられなかったのが、それが出来るようになっていた。
この患者では、椎間孔狭窄が見落とされていた。この診断は今なお、正確に行うことが困難であるのが一般的である。医師から、原因不明、大した所見なしと言われても、下肢の痛みが強く持続する患者では常に考えなくてはならない疾患です。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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