首や腰を後ろに反らす(伸展する)と、脊柱管や椎間孔は生理的に狭くなります。従って、脊柱管や椎間孔が何らかの原因で既に狭くなった方は、首や腰を反らした状態を続けると、その中を通る脊髄や神経の圧迫が増し、症状の悪化を招くことがあります。
頚椎では、椎間板ヘルニアや頚椎症、脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症などの方が、このような運動をしたり、整体などで施術を受けたりすると、頚部痛や肩甲部の痛み、上肢の痛みが発現したり、悪化したりしますので要注意です。脊髄や神経根の影響が強いと、上肢のしびれや麻痺が起こることもあります。
腰椎でも同様に、脊柱管狭窄症や椎間孔狭窄、椎間板ヘルニア、すべり症などで神経が既に圧迫されている状態にある方が、腰を極端に反らす運動をしたり、ひねる運動をしたりすると、腰痛や坐骨神経痛などが悪化することがあります。整体などの施術でも同様ですのでご注意ください。
運動中や施術中には痛みがなくても、数時間後から次第に痛みやしびれが悪化することが多いので、油断禁物です。
困った問題は、このような病気を持っていることを知らずに悪い運動をしたり、整体で施術を受けてしまうことが多いことです。
そこで、次のような症状のある方は、先ず専門医に診てもらい、やって良いこと、悪い事を知りましょう。
1) 自分で首や腰を反らした時に頚部痛や腰痛が増強したり、上肢や下肢に痛やしびれが走る方。
2) 美容院や床屋、歯科で首を後ろに反らす姿勢で、痛みやしびれが生じる方。
3) 平らな床に真っ直ぐ上を向き、下肢を伸ばして寝ていると、腰痛が増強したり、臀部から大腿に痛みが発現したり、増強したりする方。
これらに共通することは首や腰を後ろに強く反らす運動や姿勢の維持で、症状が増強することです。
よく、車の追突事故で軽い衝撃にもかかわらず、頚部から肩、上肢の痛みやしびれが発現する方がおられます。その多くは、頚椎に上記したような病気を持っていても、知らずに生活していて、事故で始めて病気の存在を知ることになるのです。この場合、事故処理がなかなかやっかいなことになり、加害者も不運ということになります。
常日頃の生活の中で、上記したような症状を自覚することのある方は脊髄や神経根の障害の起こりやすい状態にあることを疑い、専門医の診察を受けることをお勧めします。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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