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椎間板ヘルニアの再発を恐れたら脊椎外科医などやっておられない!

.10 2012 腰椎椎間板ヘルニア comment(16) trackback(0)
腰椎椎間板ヘルニアの手術治療の説明の中で、いずれまた再発する可能性が高いから、手術は勧められないと医師から言われ、手術治療を躊躇する患者が多いようだ。
再発ヘルニアによる手術の頻度は術者によって3~8%というところでしょうか。これは再発して手術が必要になり、それを行った患者という意味ですから、手術までは必要のなかった軽い再発例を含めると実際の再発例はもっと存在すると考えて良いでしょう。

 再発はなぜ起こるのか? 勿論、椎間板組織が術後も骨と骨の間のスペースに残っているから出てくるわけです。初回手術で椎間板組織を残すことなく全部摘出し尽くすことなどできはしません。だから、再発はあり得るのです。確かに、再発のしやすそうな脆くなった椎間板の患者がいます。患者によっては、二度、稀には三度と再発を繰り返すことがあります。だからといって、手術は諦めてくださいでは、脊椎外科医とは言えないでしょう。

 繰り返し言って来たことですが、初回ヘルニア手術は一部を除いては一般に容易であり、経験の積んだ外科医なら、まず問題なく治せるでしょう。しかし、再発となると話は変わるのです。再発手術は強い癒着が神経の周囲に進んでおり、多くは瘢痕性組織ができているので、神経の同定は困難になり、ヘルニアの摘出も難しく、ヘルニアを摘出しても症状の改善の得られない患者もでてくるのです。このような再発ヘルニアのやっかいな問題が外科医を萎縮させてしまうのです。再発ヘルニアを多く手がけ、成績を出していなければ、自信を持って手術に立ち向かうことはできないのです。手術で良くできない、最悪の場合、却って症状を悪くしてしまうことを恐れるからです。

 このように外科医が再発手術に消極的になってしまうのでは、患者は救われません。
私は、再発を前提にして手術を行っています。私の椎間板ヘルニアの再発手術率は3%前後ですが、やはり、再発はあるわけです。後始末は自分でやらなければなりません。私は自分以外の再発手術も進んで行っています。

 私は、患者にこう説明しています。ヘルニアの手術は車のタイヤのパンクの修理に似ている。一度、パンクを修理しても、タイヤのゴムが経年的に劣化し、またパンクすることがあり得る。そうしたら、また修理して走らせばいい。腰ヘルニアも同じことです。大事なことは繰り返し修理できること、つまり、再発ヘルニアを摘出し、通常の生活に繰り返し戻してあげることが外科医の腕の見せ所というわけです。

 再発するから手術しても無駄の言葉の奥には、再発ヘルニアには勝てない、再発したら手がつけられないという再発手術の経験不足からくるところの弱気が潜んでいる。しっかりした技術力を磨き上げれば、再発ヘルニアなど恐れるに足りずということになる。私は、再発でも固定術は基本的に行わない。MD法で再発ヘルニアを摘出することを原則としている。MD法は患者にとって術後苦痛がないと言って良いから、患者はヘルニアが再発しても手術に対する恐れや抵抗感が殆どないように見受けられる。なぜなら、手術の痛みよりも、ヘルニアの痛みの方が圧倒的に強いからに外ならない。



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drshujisato
回答します。
 それは大変でしたね。
 術前と同じ症状か別の症状かで原因は異なります。頚椎ヘルニアが同じ部位で再発するリスクはかなり低いので、他の原因でしょうか。術後間もなくでもありますので、手術部に何か起こった可能性がありますが、検査で解ると思います。手術後遺症とは手術が原因で後に症状や障害が残ったものを指すので、今回の問題は後遺症とは言いません。強いて言うなら、合併症ということですが、それは検査で解ると思います。どんな手術にも合併症はあり得ますので、その対処が大切です。
2012.09.11 18:45
drshujisato
ありがとうございます。
なかなか善意とは受取手次第のことで、思う通りには伝わらないものですね。
私は、腰椎治療は、「群盲像を撫でる」の言葉がその実態をよく表していると思っています。
それぞれが一部しか見ておらず、全体像がつかめない。一部が全部と信じる人も
出てきます。このような領域ですので、混乱・錯綜が続くでしょう。
このような状況の中で判断に困る方々の力になってあげられればと思っています。
これかも応援、宜しくお願い致します。私も頑張ります。
2012.09.11 01:10
drshujisato
誠にごもっともな意見ありがとうございます。患者がより正しい知識を持つことが、医療を変えていく真の力になると私は信じています。国民が賢くなれば、政治も良くなるはずです。同じことですね。
2012.09.11 00:34
drshujisato
もし、MRIがあるのなら、送って頂ければ、検討してあげますよ。
2012.09.10 23:57
drshujisato
回答します:
 ご指摘の通りです。脊椎外科医もあまり大きな口をたたけない実態があります。一口に言って、退行変性による腰椎疾患ほど治療の難しいものは他にはないのではないかと思います。椎間板ヘルニアといっても、ピンからキリで、患者個々に程度が違います。従って、治療も異なるのです。このような病気ですから、一般素人の方には捉え所のない病気のように思われると思います。医師でさえ、診断を巡り、治療を巡って意見が異なることが多いのです。
私も試行錯誤がありました。そのような経験を通して解ったことが多々あります。この経験が一般の方々の判断の一助になればと願っています。私が常に正しいとは限りませんので、私の意見に従う必要はありません。おっしゃる通り、最後は自分で判断・決断しなければならないのです。そのための学習が患者にも必要とされる時代になったと認識しましょう。その際の判断の参考になればそれで十分です。色々な意見を聞き、最も納得できる結論を導いて下さい。
2012.09.10 23:51
1患者
すみません。手術をしても治る例も沢山あります。同様に治らない例もここに沢山あります。極短期間ですごいと思いますよ。
http://www.mps-patients.net/
2012.09.10 23:24
1患者
以前、佐藤先生に質問させて頂いたものです。手術して直る患者もいる。確かだと思いますよ。しかし、何度手術しても治らない患者も沢山いる事を無視する事はできません。
何度も手術し、ポルトやら埋め込みそれでも直らない。それは、技術、診断力のない医者だから。。本当でしょうか?と思う患者の意識は当たり前だと思いますよ。実際に、手術の必要があると診断されて、全く違う治療を受け改善される方もいるのですから。
試してガテンでも放送されているように、ヘルニア犯人節出ないと言う意見も世の中にはあるのですから。上のコメントにもありますが、患者が学習することが大切ですね。
2012.09.10 22:59
drshujisato
回答しましょう:
 ブログで医療などしていませんよ。この医療相談室の最初に書いたように、あくまでも相談、アドバイスです。病院での診療とは違うのです。あくまでも、私の意見、助言、それも参考までのです。どう受けとめるかは相談者の側の責任においてということになります。
2012.09.10 22:06
元・本当のヘルニア患者より
「ヘルニア患者さん」へ

あなたは患者にとって、はっきり言って迷惑です。「無知な我々を騙さないで下さい」とはいったい何なんでしょうか。そんな言葉で本当のヘルニア患者を騙さないでいただきたい。あなたがやっていることは佐藤先生陥れたいがためにやっている行為にしか感じません。そもそもあなたは本当のヘルニア患者なのでしょうか。私は、十数年、腰痛に悩み、様々な病院で診ていただきました。しかし、どこの病院でも腰の捻挫、ぎっくり腰、坐骨神経痛と原因がよくわからない内容で湿布と安静で片づけられてきました。足にしびれや麻痺がないからヘルニアの疑いはない。だからMRIは必要ないと。私はこのような状態で長年痛みに耐えていたため、医師に疑いの目を持つようになりました。ある日、私は佐藤先生の記事を新聞で目にし、疑いの気持ちを持ちながらも藁をも掴む思いで受診させていただきました。どこの病院でもMRIが必要だと判断した医師はいなかったのですが、佐藤先生は即座にMRIが必要だと判断し、結果、腰椎椎間板ヘルニアだと診断されました。その時、佐藤先生は「痛かったでしょう」「辛かったでしょう」と声をかけてくださいました。誰にも痛みを理解してもらえなかった中でのこの言葉と、原因を特定できたことで涙の出る思いでした。その場で手術日が決まり、後日佐藤先生に手術していただきました。手術が終わり目が覚めると、痛みは激減しておりました。手術直後に痛みが激減するというのは、的確な診断と正確な手術によるものと認識しております。あなたは弊害をすべて説明しろと言っていますが、何から何まで説明していたら他の患者を診ることはできないと思いますよ。メスを入れる弊害、使用器具の弊害、人的弊害等、弊害を言い出したらキリがありません。あなたが医者だったのなら、このメーカーのメスを使用することにより他メーカーのメスを使用するのと比較しこのような弊害があると説明されるのでしょうか。この診察でこの椅子に座ることは腰痛患者にとってこのような弊害がありますが座りますか?とでも言うのでしょうか。何かを実行するのには弊害はつきものです。弊害の中でも危険性の高いものを患者に伝えるのが医師の役目だと思います。当然、佐藤先生は診察の際、リスクの高いことについては説明され、同意を得ています。
地元では、私のように佐藤先生に肉体的にも精神的にも救われた患者が数多くおり、佐藤先生の確かな腕と真摯さは口コミで広がっています。自分の時間を割き、腰痛で悩んでいる方々のために善意で無料ブログ相談室まで行っている佐藤先生を侮辱する行為は止めていただきたい。
2012.09.10 22:04
drshujisato
今回だけ回答しましょう:
 貴方のような考えで不幸になっている患者が私の患者の多くを占めているんですよ。
貴方の言い方では私が手術魔のように聞こえますが、実は、手術不要といわれて、痛みに泣き、不自由な
生活を強いられている患者がこの世にどれだけいることか。また、手術失敗に泣く患者も少なくありません。私はそのような患者に希望を持っていただくことと手術の失敗を繰り返さないために、このブログを書いているのです。手術をしなくても、良くなる人はそれで良いのです。なんでもかんでも手術せよとは、私のブログのどこにも書いていませんよ。手術でしか、治せない患者を手術で治すのが私ども外科医の仕事なのです。
これで、終わりにしましょう。
2012.09.10 21:46
Easton
手術には常にリスクは付きもの、その中で手術をする先生としないで保存治療に専念する先生、どちらを選ぶかは患者が決める事です。決める以上は自ら勉強や調査し直に医師に質問し、自ら納得した上で医師の治療方針に沿って治療をすればいいと私は思いますが、医師任せは絶対にやめるべきです。何故なら大事な自分の身体、特に脊椎、脳疾患の患者さんは必要です。医師なら誰でもいい筈ありませんから。
2012.09.10 21:18
すべり症患者
大変失礼ですが、私もヘルニア患者さんの意見に賛成です。
ヘルニアの診断は難しい、腰椎医師にはスキルの低い者が多い的な発言が目立つような気がしますが、難しいヘルニアの診断が診察もできず、ブログの書き込みでできるのでしょうか?
患者を診ずして医療はできないと思います。いかがでしょうか?
2012.09.10 20:49
ヘルニア患者
ヘルニアの再発を恐れるのは医師じゃなく患者じゃありませんか?手術でヘルニアを完治させるなんて言うまえに手術による弊害を、もっと説明するべきです。椎間関節を一部削る弊害、黄色靭帯を摘出する弊害、髄核を摘出する弊害。手術後の椎間板症の実態。即再発による固定術のリスク。手術には、いろんな弊害がありますよね?この弊害を知ってるから他の医師は手術を薦めないんですよね?はたから見てると先生のブログは手術をしたい医師のブログにしか見えませんよ。あまり医学に無知な我々を騙さないでください。
2012.09.10 20:03
T.Aさん66歳男性
佐藤先生
早速の所見有難うございます。先生のブログから私もその可能性は感じていました。問題は医師探しです。過去に沢山経験してましてなかなか見つかりません。
2012.09.10 18:31
drshujisato
回答します。
 左l5神経根の症状であることは間違いないようです。脊柱管内には
原因となる病的所見がないのでしたら、後は、L5/S1の椎間孔内か椎間孔外の
問題であると考えて良いでしょう。いつも書いていますが、
この部位の診断と手術に関しては脊椎外科医の盲点なのです。自信をもって、診断し、
手術できる医師は極めて少ないと思って下さい。私は、MRIで診断します。
MRIの読み方にはかなりのコツと経験が必要なのです。科学的アプローチとは、可能性を
潰していく手法といってもよいでしょう。私は、ブロックも造影検査も一切行っていません。
私の経験から不要と結論しています。さらに、私の経験からは、この部位の病気は特に
根障害が進行しやすいので、手術を行うべきと考えています。保存治療には限界がある
と思います。
2012.09.10 16:29
T.Aさん 66歳 男性
1年半前から左下肢の痛みと痺れあり、複数の医師の診断でも原因分からずに経過、つい最近の診断でもMRIの画像所見では問題なしL5神経ブロックをしましたら効果あり、L5/S1間の椎間孔狭窄症の疑いを指摘さるるも医師は保存治療が妥当と判断しました。個人的にはMRIの画像は伸展での姿勢ではないので、症状と画像が一致しない関係があり、果たしてMRIだけでは正しい判断が出来ないのではと思いますが先生の意見をお願いします。先生はブログでもMRIだけでは完全ではなく患者の症状を厳密に確認し科学的根拠を持って診断、治療するといわれています。
2012.09.10 11:11

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