9月5日のブログでfailed back surgery(失敗した腰椎手術)について、最近、私が経験した椎間孔内外狭窄の患者を紹介しました。その患者は再手術後5日目で、まだ下肢に痛み・しびれは残るものの、再手術前よりも軽減しており、何よりも歩行状態が改善している。再手術前は歩行器につかまり、腰を前に曲げてやっと歩いている状態であった。さらに、当然のことながら、歩行中の表情は暗かった。しかし、今回、再手術後はまだ下肢に痛みやしびれは残るものの、改善が進んでいることを実感しているため、患者の表情は明るい。さらに、傍目にはまだ歩きにくさを感じさせるが、歩行器も不要になり、笑顔で病棟を歩いている。こうなると、後は時間が薬で、時間と共に改善していく。
手術によって、神経の圧迫が取れ、姿勢や動きの影響を神経が受けなくなると、姿勢・動作や歩行で増強していた腰や下肢の痛みやしびれは速やかに消失していく。勿論、神経に加わってしまった障害による持続的な痛みやしびれが改善するのにはそれなりの時間が必要になる。
椎間板ヘルニアであれ、脊柱管狭窄症であれ、すべり症であれ、病気の種類にかかわらず、患者は術後すぐに手術の効果を実感できるものだ。私は、術後、患者の言葉から手術が成功か否かを判定している。通常、この判定は術後2、3日で可能と考えている。もし、術後すぐに症状の改善徴候が見られない場合には、私は術後2週間までには再手術が必要かの検討を行い、再手術が必要な患者では、できるだけ早く再手術を行う事にしている。それが、failed back surgeryを出さないための私の方針だ。
今回の患者は初回手術から約50日過ぎて、再手術を行った。初回に椎間孔外から神経の除圧は十分にできたと判断していたことが誤りであった。患者は術後、一貫して症状の改善はないこと、姿勢によって痛みが増強することを実感していたのだ。手術治療の困難な患者ではあったが、もっと早くに不完全手術であったことに気づき、再手術を行うべきであったと反省させられる。
手術を行ったが、手術が結果を出せずに失敗に終わったなら、手術を失敗のまま終わらせるのでなく、見落としがなかったか、手術が不完全でなかったか、再手術でよくできないか、慎重にしつこく検討すべきことを強調したい。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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