私のブログを読み、現在の脊椎外科医全般のレベルが低い、未熟だと受け止められている方がいるのなら、それは誤解です。もし、私の書いたブログの内容によって、そのような印象を持たれたのなら、それは私の本意ではないことをお断りします。
外科医の技量を問題にするのは、手術を受けたが良くならない患者が存在するためです。外科医は、「手術が必要、手術で良くなる」と判断するからこそ、手術に踏み切るのです。最初から、良くならないと解っている患者に手術を行うような外科医は皆無と私は信じます。
しかし、手術の結果が予想に反したものであるなら、その結果を外科医は真摯に受け止めねばなりません。どこに良くならない原因、あるいは良くできなかった原因があるのかを明らかにすることは、医師を信頼して手術を受けられた患者に対する外科医の責任であると私は思います。
手術をしたが良くならなかった原因としては、標準的な技量があれば克服できたはずの原因から標準以上の技量と経験を積んだ医師においても克服困難であった原因まで、様々なレベルがあるのです。
退行変性による腰椎疾患は私がいつもブログに書くように単純なものから、複雑に込み入った状態のものまで、相撲にたとえるなら、序の口から横綱級まで種々の段階があるのです。
従って、その段階に応じて、より高い技量が脊椎外科医には求められるのです。
私は、私の脊椎外科医としての経験を通して、腰椎疾患の内、何が序の口で何が横綱なのかを体感してきました。これは疾患名で区別できるものではありません。ヘルニアでも腰椎の条件によっては横綱級に難しい手術になりますし、脊柱管狭窄症でも序の口クラスのものもあるのです。患者から見ると、同じ病名であるのにどうして手術法が異なるのか、結果に違いがあるのか、極めて解りにくいことであろうと思います。
このように一律には行かない腰椎疾患であるからこそ、殊更にインフォームドコンセントが重要なのです。患者に解りやすい十分な説明と患者の理解に基づく了解が手術治療の大前提になります。勿論、他の疾患の治療においてもこの手続きが重要であることは言うまでもありません。術前には勿論のことですが、術後もそれが重要です。手術で良くなるはずであった症状が術後、良くならなかった場合には、自分でその答えや対処方法を見いだす必要があります。もし、それが困難な場合には、より上位の脊椎外科医に相談する謙虚さとそれが出来る仕組み作りが必要でしょう。
しかし、その上位の外科医においても、尚、困難な問題が多く存在するのが退行変性による腰椎疾患の現状と言えます。私においても例外ではなく、まだまだ多くの課題に取り組んでいる最中です。
「挑戦と進歩」、人類に課された終わりのない課題に取り組み続けていくことが、私どもの役割であり、ミッションと思います。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
思っております。応援クリックお願いいたします。
- 関連記事
-
trackbackURL:https://spine.drshujisato.com/tb.php/193-6d91f547