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腰椎椎間板は、手術で全部は摘出できないの意味を説明します。

.26 2012 腰椎椎間板ヘルニア comment(12) trackback(0)
私は限られた時間の中で、できるだけ多くの方に早く回答するように心がけています。病気に悩む患者の気持ちが良く理解できるからです。一方、一般の方々が医学的な疑問を色々持たれたり、知識を高めることは結構なことと思いますが、その疑問・質問の全てに答えている時間はありません。一般的な医学的知識はウェブを見ることの出来る人なら、容易に得ることができますので、そのようにお願いします。中には質問の意図が健全でないと思われる人も混ざるのでやっかいです。

従いまして、以前にも書きましたように、ブログ相談は脊椎疾患に罹患し、その診断・治療を巡り、私の意見を聞きたいという方への回答に限らせていただきます。

しかし、今回の椎間板ヘルニアの摘出術のことで疑問を残し、混乱させたままではいけないと思いますので、一度だけ説明いたします。

椎間板とは、中心部の髄核と周辺部の線維輪からなります。椎間板と骨との間には軟骨性終板があります。通常、椎間板ヘルニアというと、髄核や線維輪が椎間板腔を超えて脊柱管内に突出あるいは脱出した状態を指します。また、軟骨性終板が脱出することもあります。
手術の時には、脱出遊離した髄核を摘出したり、膨隆した線維輪を切開して、脱出した髄核を摘出したり、椎間板腔内に存在する髄核を摘出したりします。

私が、椎間板は手術では全部摘出することは出来ないと言ったのは、椎間板腔内の髄核のすべてを摘出することはできないという意味で言ったのです。当然のこととして、線維輪はすべて取り除けるはずはないからです。再発の問題につながるのは椎間板腔内に残る髄核なのです。

もし、髄核のすべてが手術できれいに除去できたなら、ヘルニアの再発は殆ど無くなることを意味します。しかし、実際にはどんな術者でも、数多くのヘルニア手術を手がければ、手がける程、必ず再発のケースに出会います。つまり、髄核のすべてを除去することの困難さを示すものです。勿論、術者によってその頻度に差があることは事実です。ヘルニアの再発がないからと言って、髄核が全て手術で摘出されたとは言えないのです。髄核が残っていても再発しない人の方が遙かに多いからです。

 以上で、この件の説明はエンドにします。明日は、いや、もう今日ですが、午前と午後に2件の手術があります。明日も同じく2件の手術が予定されています。その合間をぬい、そして、夜間に管理者としての仕事をしています。そのような状況の中でのブログ相談ですので、上記した件ご理解ください。


                            
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下肢疾患患者
排尿障害があるのでしたら、一般には即手術だと思いますが、佐藤先生にご意見を頂いたほうがいいですね。手術実績がある先生で悪化と言うことであれば、ヘルニア、狭窄が原因でなく、筋筋膜性疼痛症候群かも知れないですね。
2012.10.01 15:36
脊柱管狭窄症患者
名医とは謙虚だと思います。ベルさんのお母さんの執刀医は自分の技量には問題はない、後の問題は患者にあると傲慢で自己満足しか出来ない医師ですから、諦めて次の事(信頼出来る脊椎外科)を見つけ早めの治療をする事です。個人的には佐藤先生に診てもらう事を勧めます。私自身はまだ先生に診て貰っていませんが間違いないと思います。万難を配してやるべきです。距離、時間は関係ありません。何故なら医師捜しは簡単ではなく無駄になる可能性が高いからです。佐藤先生を知り得たのですから信じて診てもらうのが早く治癒する可能性が高いと思います。私自身も早く知り得たならば今頃は完治してたのでは思ってます。それと脊椎外科は日本整形外科学会の認定医と日本脊髄学会の認定医がいますが、私の経験では少数派の日本脊髄学会の脳神経外科医を勧めます。理由はいろいろありますが省略させて頂きます。MRI(術前と術後)を持って早い行動が必要です。失礼しました。
2012.10.01 14:33
ベル
脊柱管狭窄症患者様

ありがとうございます。
心身ともにくたびれて帯状疱疹が出ている母を表に出すことはできないなと思っておりました。最近ショックから同じ話をすることがあり、これで認知症になったら大変だと危惧しております。まずは紹介状をもらい医者をさがすことをしないといけませんが・・検討がつかず悩んでおります。
アドレスはkanalife@mail.goo.ne.jpです。どうぞよろしくお願いします。
2012.10.01 10:51
脊柱管狭窄症患者
失礼しました。信頼出来る医師をどう選ぶかが一番重要で難しいと思います。佐藤先生は医師としてコメントには言えない事もあります。もし可能であればベルさんのメイルアドレスを教えてもらい直接私の体験にもとずいたアドバイスを送るか、先生のブログを借りてするか、その場合は公開になりますが?
2012.10.01 10:35
ベル
先生、度重なるお返事をありがとうございました。
ご意見を肝にめいじまして、まず今月に母の付添で同じ病院にいきますので、再度母の症状を訴えてそれでもだめでしたら、紹介状をもらおうと思います。去年の震災で被害を受けて、それでも母は希望を見出そうと思い切って受けた手術でこんな症状になり言葉もありません。可哀想です。母にとっては最悪な事態になっており、どうしても救ってあげたい気持ちで一杯でおります。また、昨日の話しでは、座っているだけでも腰が痛くなってきたと言います。歩けなくなるのではないかと恐怖を感じております。

脊柱管狭窄症患者様
ご意見をありがとうございます。「ベルさんが希望し、公開の場を借りての事となりますが?」とおっしゃられる公開の場とはどういう意味でしょうか。こちらを借りてこんな話をするのは申し訳ないのですが教えてください。
2012.09.30 22:41
drshujisato
回答します。
 術者は手術は成功して、何ら問題はなしと言うが、患者は手術で良くなって
いないかむしろ悪化しているという手術結果の評価における医師と患者間の不一致は
少なくない問題です。どちらの言葉が正しいのか、この判定は術者よりも更に上位の
医師の判断を求めるしかないわけですが、何が名医の基準なのかが不確かなように、何をもって
上位というのか、これも曖昧なわけです。この種の問題に関しては、trial and errorしかないのが
実情です。Doctor shoppingと問題視する立場もありますが、納得できる答えに辿りつくよう
医師を求めるしかないように思います。脊髄センターへの転院が駄目というのではなく、(私にはどこの
脊髄センターかも、内情も解りませんので)、情報収集されてから選ばれたら良いと思います。、
2012.09.30 19:24
脊柱管狭窄症患者
ベルさんへ
私も同じ手術をして失敗しましたので今の状況よく理解出来ます。他の医師も異常なし、これも同じ経験をしてます。佐藤先生がおっしゃたように、親身に一生懸命観てくれる医師を探すのは簡単ではなはないのが今の日本の医療の現実です。MRI画像だけで済まされない腰椎疾患の難しさも私自身勉強と経験で認識しました。私も一患者としてアドバイス出来る事がありますが、ベルさんが希望し、公開の場を借りての事となりますが?
2012.09.30 19:06
ベル
さっそくのご意見をありがとうございます。
涙が出る程嬉しいです。

手術してこんなに悪くなることがあるのかと正直信じられない思いでいます。私が母と説明を受けた時は、担当医がそんなに母の悪化の症状を重く受け止めていないことが分かりましたので、最初は私も母が大げさなのではないか、筋肉をつければどうにかなるのではないかと思ったほどでした。
しかし、帰省して母と暮らしてみると母は大変な激痛に耐えていることがよく分かりました。術後悪化してから、母は気付かないうちに下着に軟便が漏れてついているそうです。

しかし、担当医からはMRI,CTはきれいだそうで混乱していました。
実は、日本では名医と言われるドクターに手術していただきました。なのでこの名医が、どうみても母は悪化しているのにそれ以上の検査を進んでしようとしてくれず、母の精神状態だけを指摘していること(お手上げにしている)が信じられないのです。
あまりの激痛に耐えられず近くの病院に母が相談に行ったようですが、そこで撮ったMRIでもちゃんときれいだと、そして母が手術を受けた先生は名医だから、最終的にはその先生にお願いしたほうがいいなど言われまして、八方ふさがりでいました。

すいません、脊髄センターに転院したほうがいいと思っていたのですが、やはり、別の整形外科を探してお願いしたほうがいいのでしょうか。

何度もすいませんが、お返事をいただけましたら本当にありがたいです。
2012.09.30 15:52
drshujisato
回答します。
 症状はご指摘されているように脊柱管狭窄症の症状です。手術は患者側から見ると成功とは言えませんね。医師の側から見ると、予定通りに行い得たから、成功ということなのでしょう。私は、このような手術を成功したとは言いません、患者の症状が良くなって始めて、成功といえるのです。と言っても、仕方がないので、医師を代えることです。手術でなぜ良くならなかったか、その原因を突き止められれないのなら、その医師の限界でしょう。他の、脊椎外科専門医を捜すことです。他の医師が手術した症例を一般には手をつけたがらないものですが、真摯に対応してくれる外科医が必ずいますので、諦めずに、頑張って下さい。
2012.09.29 21:54
ベル
教えていただけましたら大変ありがたいです。
私の母が昨年、脊柱管狭窄症で手術を行いました(削っただけです)。術前は左足のしびれと痛みで困っておりましたが、術後3か月経過してから、両足の痛みとしびれが出てしまい、1年たった今では5分立つと痛みが我慢できなくなります。両足の裏はスポンジのような感覚のしびれです。
手術を受けた病院で再度MRI,CT検査(立位や腰を曲げたりして、すべり症ではなかったです)しましたが、全く問題なしなのです。手術は成功だと担当医はみなしていますが、現実、母は術後悪化していて歩けません。
しかし、プールや自転車はこげます。まるで脊柱管狭窄症の症状です。実際、このようなことが(術後悪化していても証拠が無い)あるのでしょうか。担当医には精神安定剤をもらい痩せるようにと言われていますが、母は3キロやせましたが激痛に変わりはなく、努力してプールで歩いて筋肉をつけましたが、それとはまったく違く、まったく激痛は収まりません。それでも担当医はそれまでとみなしていまして、本当に困っております。
次は、紹介状をもらい転院したいと思っておりますが、本当に困っております。このような症例は過去にありますでしょうか。誰に聞いても分からないことでして、教えてください。
次の店員は脊髄センターにでもいけばよいのでしょうか。
2012.09.29 20:53
drshujisato
回答します。
 私は髄核の摘出が必要と判断した患者では、出来るだけ摘出しますが、貴方のいうような腰痛が残る症例はまず、経験していません。もし、腰痛が残ったなら、髄核を摘出しためではなく、その他の原因でしょう。ましてや、固定術(PLIF)をそのために行うことはまず、ありません。これは1000例を超える私の椎間板ヘルニアの経験からの言葉です。信じるも信じないも貴方次第ですが。
2012.09.26 22:47
40才男性
髄核の機能は体重を支持すること。その髄核を摘出すれば椎間板の高さが減少し医原性による腰痛となります。この腰痛を治すのに椎間板を全摘し固定術(PLIF)になります。まさに負のスパイラルです。これを防ぐには髄核の摘出量を最小限にとどめることですよね。再発よりも固定術のほうがイヤです。患者のためを思うなら髄核はできるだけ温存するべきです。
2012.09.26 20:03

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