脊椎の退行変性疾患に対する私の治療方針を紹介します。
私は手術治療を専門に行い、薬物治療などの保存治療が適応の患者さんは診療所やクリニックへ逆紹介させていただいています。
手術治療は最小侵襲手術を基本にしていますが、最小侵襲手術では対応できない疾患においても、病気の状態(病態)に応じたより侵襲性の低い手術方法(いわゆる、tailored surgery 仕立て屋手術)を行っています。
脊椎手術の中では椎間板ヘルニアや狭窄症などの退行変性疾患が最も多く、これらには顕微鏡下の最小侵襲手術であるMD法を全例で行っています。腰椎すべり症では、最小侵襲固定術を行うなど、従来から行われている大きな切開と筋肉の剥離を必要とする手術法は行いません。
最小侵襲手術のメリットを挙げると、
1) 不要な操作が無いため、手術時間の短縮と出血量の減少が図られる。
2) 手術後の痛みは軽いため、鎮痛剤の必要性は低く、麻薬使用はない。
3) 手術翌日から離床開始できる。
4) 早期の社会復帰
5) 術後感染リスクは極めて低く、はほぼ0に近い。
6) 出血量が少ないため、例外的症例を除くと輸血は不要です。
最小侵襲手術とは、椎間板ヘルニアの摘出や神経の除圧、腰椎の固定などを最も小さな皮膚切開と筋肉操作で行う手術法です。この手術を行うために、疾患によって直径16mmから22mmまでの4種類のチューブレトレクター(TR)と手術顕微鏡を用います。椎間板ヘルニアと狭窄症では、直径16 mmのTRなどMicrodiscectomy Systemを用いた手術であることから、略してMD法と呼ばれます。
次回は腰椎に対する手術方針を紹介します。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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