私のブログ相談室を訪れる方々の相談をお聞きしていて、まず、驚くことは
痛みや身体の不自由な状態に長い期間、置かれていることです。
腰椎変性疾患による神経障害は悪化傾向を示す場合には、途中から急に改善へ向かう可能性は極めて低いというのが私の見解です。悪化傾向というのは、数ヵ月単位で見た時に次第に立位保持や歩行が困難になっていく場合とか、下肢のしびれや筋力の低下が進む場合です。
腰の動きや姿勢の影響を受けて増強する痛みやしびれは腰椎の中で神経が圧迫・刺激されているために起こっている場合が多いと私は考えています。実際、そのような患者ではMRIによって神経の圧迫所見を見つけることができ、それを手術で取り除くと、症状は速やかに改善へ向かいます。
速やかにというのは、神経がヘルニアや狭窄症などによって、圧迫されているが、除圧すると神経機能が完全に回復できる段階での話であり、神経障害が進んでしまってからでは、除圧術を受けても速やかにとはいきません。神経障害が進んだ患者では、除圧後に神経障害が改善するのに時間を要しますし、完全に回復しないことが少なくありません。神経障害が進んだ患者では、術後半年過ぎても、下肢にしびれや冷感が残ったり、痛みが残ったり、歩行障害が残ったりすることになります。神経の回復期間は術後3~6ヵ月間です。それ以後になると回復は鈍化します。
生活の質を回復するためには、神経障害が回復し得る段階で手術治療が行われるべきと私は考えています。
話を先に戻し、長い期間、腰椎変性疾患によって、痛みや身体の不自由な状態に置かれている方々は、生活の質を取り戻すチャンスを日々、失っていく過程にあると私は見ています。
腰椎変性疾患が長くゆっくりと生活の質を蝕む過程は、後期高齢者の腰椎疾患を見ていると良くわかります。これらの方々は50代や60代に発症し、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、より悪い状態へと進んでいるのです。
長い期間、改善しない、悪化傾向にある患者は根本的に治療を見なおす必要があります。
腰痛・坐骨神経痛で悩むより多くの方に読んでいただきたいと
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