最近、この種の不満を持って受診される患者さんを時折、見受けます。その答えは、ヘルニアはレーザー治療の適応ではなかったということです。勿論、レーザー治療の技術的な問題は抜きにしての話しですが。一口に椎間板ヘルニアといっても色々なヘルニアがあります。レーザー治療が有効なヘルニアはその一部に過ぎないのです。椎間板が靱帯を破って神経を直接圧迫しているヘルニアはレーザーでは良くなりません。ヘルニアが石灰化して硬くなったものも良くなりません。変形性腰椎症といって、加齢に伴う腰椎の変性・変形による脊柱管狭窄を伴っている椎間板ヘルニアにも効果は期待できません。そのほか、レーザー治療が明らかに効果ないと思われるヘルニアにも、安易にレーザー治療が行われている現状は脊椎専門医にとって極めて残念であり、治療効果を期待する患者さんを欺くことであり、誠に申し訳ないことと思うのは、私だけではないでしょう。患者心理としては、切らなくてもヘルニアが治るかも知れないということは大変な魅力と思われます。レーザー治療は保険がききませんが、高い治療費を自費で払ってでも受けたいという、まさに溺れる者は藁をも掴むといった心理でレーザー治療に向かわれる患者さんが多いように思われます。確かにレーザー治療で良くなるヘルニアもありますので、一概にレーザー治療はだめとは言いません。もし、レーザー治療を考えている方がおられるなら、セカンドオピニオンを別の専門医に求めてから決めることをお勧めします。レーザー治療で神経障害が起こることもあるので、必ずしも安全とはいえない面もありますので、慎重に判断することをお勧め致します。

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